オリジナルボイスドラマ DRIVE!!
第1話 夜己とシュークリーム
<登場人物>
和亀,夜己,遊気,斗紋,哉乞,田中,村上,頭良
エイリアン,教授,学生1(女),学生2,学生3(男),先生,生徒A
01
夜己<モノ>
いつの時代も、どの場所にも、慣習というものがある。
○ガヤ・フェードイン。夜己の歩く音は最初から。
夜己<モノ>
そこに文化があれば、集団があれば、なにかしらの慣習というのが生まれるのは、
なぜか、当然なのだ。私はそれがどうしてできるのかということは、わからない。
私はまだ子供だし、知ろうという努力をしていないし。
いずれにせよ、私達はこの星にいる限り、ここの慣習にしたがわなければいけない。
オトナの決めた規律に従わなければいけない。
夜己
うそね。
夜己<モノ>
従うべき、であるだけだ。少なくとも規律にかんしては。オトナは絶対ではないし、
子供は無力でもないのだ。歯向かうことだってできるのだけど、
夜己
結局、めんどくさいだけなの。
夜己<モノ>
もごもごと独り言をつぶやきながら、私は彼の所属する研究室をめざして、
廊下を歩いていた。目的は、彼に挨拶をすることと、もう1つ、ワインをねだること。
夜己
やっぱり今時、ケプトよね。あの甘みがたまんないんだわこれが。
夜己<モノ>
もう一度言うが、私はまだ子供だ。
夜己
む… わ だっ!!(大胆に転んだ)
夜己<モノ>
ぼんやりしていたら、何かにけつまづいた。盛大に転んだのは恥ずかしい。
夜己
ああ、もう、なに!
夜己<モノ>
足元を見ると、灰色の毛でおおわれた、ちょっと臭いのきつい生徒が、
大胆にも廊下の真ん中で居眠りをしていたのだった。
エイリアン
…zzz…ぐぅ…すー…(寝息)
夜己
なによ(立ち上がりながら)、あんた、第七銀河系のエイリアンでしょ、
あんたの棟はあっち、ここはソンナ星人の棟よ、はやくいかないと食べられちゃうわよ!
…。(反応をうかがう)…ねえ、おきなさいって。おきなさいよ!
もう、しかたないわね。(地団駄踏みながら)なんでこう、第七銀河系の生徒ってモラルが悪いんだか!
○フェードアウト。
○バタバタと走る2人の後音。ざわざわとした声が聞こえる。
遊気と斗紋が廊下を人ごみを掻き分けて通ってくる。
斗紋
はぁ、はぁ、ごめん、通してくれる?ごめんー!
遊気
おい、どかねーと怪我すっぞ!
学生1
な、何?
斗紋
ごめんね!おい、遊気はちょっと落ち着け!!
○2秒くらい走ってます
斗紋
はぁ、はあ…ええと、どこだ、原子発現科…
遊気
おい、こっちじゃねえか?
斗紋
どれどれ、えー、形態変化実験室、太陽系科学資料室、人類学研究室…
こっちは太陽系と人類しかないぜ
遊気
こっちは惑星バンビーナと第七銀河系…
斗紋
まるで迷路だな…。あ、あれか!?3次元物理の…あった、哉乞のいる研究室だ!
遊気
おし!
○とある大学の研究室。中から数人の笑い声が聞こえる
学生2
これで350個目?
学生3
やっとって感じか?
教授
それでもその若さで受賞というのは、すごいなぁ
哉乞
えー、皆さんのおかげですよ!どうもありがとうございます!
○ふたたび笑い声。と、そこに2人が駆け込んでくる
斗紋
哉乞!ソンナ物理学コンクール優勝だって!?
遊気
すげーじゃん。祝いにきたぜ!
哉乞
わぁっ、(椅子から立ち上がって)ありがとうございます!
斗紋
今度は何発明したんだよ?
哉乞
えーとですね、まあ、今回は天体物理なんですけど…
夜己
ワームホール間の移動研究に貢献しただけよ(研究室の中から顔を出す)
斗紋
おー、夜己、お前もいたのか!
夜己
私もさっき来たばっかり。ほんとはもっと早く来たかったんだけど、
ちょっと、エイリアンを1匹、別の棟まで運んでたら時間かかっちゃって…。(怒)
哉乞
まあ、それでですね、そのワームホールの研究の話なんですけど、今回はブラックホールからワームホールへと移動する際の原子の運動を制御するための運動、これをミラームーブって名づけたんですけどね、それを理論上ではなく実際に観測することに成功しましてこれはホワイトホールへの移動も可能になるってことでつまり実際にブラックホールに吸い込まれるときのことを入力とするとそれとまったく逆の運動をかけることで形象を維持したままブラックホールを超えることが可能になりそれにより既存のブラックホールの空間のバランスが崩れてしまう懸念はありますがもちろんその後のワームホールを移動し物体を異空間または同空間のまったく違う場所に送り込むことが可能になったわけでしてそれはソンナ星の経済も科学も多いに発展する足がかりとなるはずなのです!もちろんホワイトホールを超える場合はミラームーブが実際にはたらくわけですから、ブラックホールと同じ運動を作り出し、入力から出力というプロセスを安全に作り出すことに成功したわけですよ!(約1分)
○哉乞が自分の理論を自信満々に話してる最中、斗紋のモノローグが始まる
斗紋<モノ>
ソンナ星。
それがこの、俺達の住んでいる惑星の名前だ。
この宇宙空間には、生命体が存在する惑星や衛星が数多く存在してる。
それは時に、数十億もの単細胞生物のみが存在する星であったり、ほんの数匹の生命体で暮らしている星だったり。あとは、星自体が生命体だっていう報告もあったっけ。
彼等の生活のしかたはまさに多種多様。
だけど、その星々に住んでいる奴等はみんなそろって、他の惑星に自分たち以外の生命体が存在していることを知らない。
そう。そして、そのことを唯一知る生き物は、ここソンナ星とその衛星の奴ら、そして運良くここにたどり着いたエイリアンだけ…、ってわけさ。(約50秒)
哉乞
まあ、実際に使われ始めるにはまだ時間がかかるんでしょうけどね。
遊気
よくわかんねえけど、
なんかすごいのを発見して、お前が表彰されるんだってことはわかった。
哉乞
いやーそれほどでもあるかなってぇ!
夜己
どうでもいいけど、表彰されたお金、ちゃんと私の誕生日プレゼントに貢ぎなさいよ!
斗紋
そうか、夜己は今日誕生日なんだっけな。
遊気
お!おめでとう。
夜己
へへ!
哉乞
夜己さんもやっと160代に突入かあー。
夜己
160歳ていえばいちばん脂がのってる時期じゃない?
この流れでデビューしちゃったりして☆
遊気
何でデビューすんだよ…。
斗紋
芸能関係は30年前に規制ができたからなぁ、無理だろー。
哉乞
そんなこと言ってるうちに老いぼれるのが常ですよ。
夜己
うっさいわね。
○校内放送が流れる。
先生
ルカ・トモン、ヌマガミ・ユウキ両生徒は、至急形態変化実験室に戻りなさい。
くり返す、ルカ・トモン、ヌマガミ・ユウキ両生徒は、至急形態変化実験室に戻りなさい。
遊気(くり返す、の後)
やべ、お呼び出しくらった!
斗紋
おれたち講義抜け出してきちゃったからさ。
哉乞
そこまでしてお祝いを言いに来てくださったなんて…、ヤコツ感激です!
遊気
抜け出せる理由ができたから来ただけだけどな。
夜己
そんな遊び好きの2人にお誘いなんだけど、今日私の家でお誕生日パーティするの。
来てくれるわよね?
斗紋
160になって『お誕生日パーティ』っすか…。
夜己
哉乞の受賞のお祝いも兼ねてね。どう?
斗紋
まあ、もちろん行くぜ!
遊気
どうせお前等2人だろ。哉乞だけに任せとくのは不安だしな。
哉乞
実は僕も、酔った夜己さんを1人で相手にするのはちょっと…。
夜己
何よ?(言いよどむ哉乞につっかかる)その点は大丈夫よ!
斗紋
ま、あんま飲みすぎんなよな。
夜己
わかってますー。
夜己<モノ>
もちろん、法律にはふれていない。
この星では、お酒はハタチにになれば飲めることになっている。それで、私はもう160。
寿命から言えば子供だが、お酒をのんでもう140年になる。
遊気
じゃ、また夜な!(2人は廊下を走り出す)
哉乞
廊下は走っちゃいけないんですよー!
斗紋
至急来いって言ったのは教授だもんな!
哉乞
屁理屈だ…。
夜己
…さて、私も戻らなくちゃ。地球文化の講義が始まっちゃう。
哉乞
ああ、じゃあ僕も色々用事があるので、また夜に!
夜己
ケプトのブランデー用意しといてねー☆(遠ざかりながら)
哉乞
高ッッ!高級ブランデーは勘弁してください!
夜己
あはは…(遠くのほうで笑う)
夜己<モノ>
私はそんな冗談を言って、哉乞の研究室を後にした。
私の名前は、サイカ・ヤコ。ソンナ星の、花もうらやむ160才!
好きなのみものは、アルコール。特に、サーシャマッツ第七惑星特産のワインと、衛星ケプトのブランデーが大好き!
まあ、あとは私の家の近くに住んでる、ティアさんの作るシュークリームかな。
ええっと、みんな知ってるかしら?ここからずっと遠くにね、ある青い惑星があるの。
名前は地球。
私の将来の夢は、地球への特派隊に参加して、いつか本当の地球に行くこと。そして、ホントの人類と話をすること!
…なんて、夢を語っていたのもつかの間の話。
私のこの願いがいとも簡単に叶ってしまうなんて、4行前の文章をよみあげてるときは露ほども感じなかったのだけどね。
そう、これは、私たち4人の、ひどく不思議でちょっと変なお話。
私がほんとうに体験した、地球のお話。
ま、変も不思議もたいした変わりはないんだけどね。
夜己
それにしても、哉乞の研究室、ホント臭かった…
<♪オープニング>
斗紋
第1話、
遊気
ヤコとシュークリーム
哉乞
とブラックホール!
遊気
うるっせえ…(吐き捨てるように)
続きはhttps://www.pixiv.net/novel/show.php?id=9360834で!
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