待ち焦がれていた世界は今や
致死量の正義に溢れて見る影もない
君はまだ死に損ないの身体に
しがみついて浅い呼吸を繰り返す道化

助かりたいのかい？お気の毒様！
既にセーブデータは破損状態
リセット押した方が早いくらいさ

恋と言う名のエッセンスで
べたべたに汚れたゲーム
楽しさの一ミリも残っちゃいない
それなのに、どうして君は
こんなに疲れきっているのでしょうね？

『まだ終われない、終わらない
　最終魔法の詠唱方法さえ
　知らないままで終わりたくない』





冷たい空気は風と絡み合って
道を行くのは首を潜めた亀の群れ
誰もが皆一様に同じ顔をして
感情の無い眼を巡らすモブだらけ

わからないのかい？お気の毒様！
鏡を見たら気が付くはずさ
自分自身も同じだってことにね

この荒廃しきった世界を
救うための勇者すら
庶民のタンスから搾取する
魔王はとっくにいないのさ
王様の腹の中、寝息を立てている

『まだ始まらない、始まらない
　最終魔法の詠唱方法を
　知らないままで終わりたくない』



誰を救えばいいのでしょう？
誰を討てばいいのでしょう？
もうそろそろ諦めて、口を閉ざしなよ
それともまだ何か、未練があるのかい？



嗚呼！
この荒廃しきった世界を
君は鮮やかにするため
震える唇で最終魔法を叫んだ
「愛してくれ！」と

途端、世界は季節を変えた
君へと手を伸ばして歓迎した
ご覧！それが君の求めたものだ
一夜で消える幻の世界だ
それでも必死なその姿を
笑うものは誰一人としていないのさ

ねぇ、