お隣空いてますかと尋ねた僕に
顔をあげた君は驚いた
一人で旅に出かけるよりも
二人のほうが楽しいでしょう？

揺れる電灯 暗い窓の外
肩を震わせる君の手を握る
辿り着いたら川で釣りでもしようか
それともお花畑で お昼寝でもしようか

停まることのない 夜行列車
君と僕を二人連れて
まだ見ぬ世界へと走り続け
帰り道は全て消し去って行く


そろそろ眠りますかと尋ねた僕に
寄り添ってた君は頷いた
過ぎ行く時に怯えるよりも
夢見るほうが幸せでしょう？

視界ぼやける 狭い個室内
力込められた君の手に引かれる
辿り着いたらそこは僕らがいた場所
背中押され振り向けば 手をあげ微笑む君

停まることのない 夜行列車
君と荷物だけを連れて
帰れぬ世界へと別れを告げた
一人僕を残して消え去って行く


景色が白い サイレントな世界
視界の隅で 眠る君を見た


停められなかった 夜行列車
君は一人僕を残して
戻れぬ世界へと連れて行かれ
残り香だけ少し消し忘れて

停まることのない 夜行列車
幾人もの命乗せて
まだ見ぬ世界へと走り続け
帰り道は全て消し去って行く