二話 「奇妙な人」



 正南高校入学二日目。
 昨日は結局、誰ともしゃべらず帰ったのである。まぁ、私の人生なんてそんなものである。
 今日は、昨日配られたプリントによると 部活動紹介とオリエンテーションがあるらしい。

  「……かったるー」


 制服に着替えながら思う気持ちはそれだけだ。
 鏡に写る自分を見ていたら、ふと思うことがあった。
 私は、将来何をするのだろう。
 確かに、雑誌などに載っている普通の女子高生の生活がうらやましい。
 だけど、私はそれよりも本やパソコンが好きなのである。
 きゃあきゃあ女の子らしく騒ぐよりも 一人でひっそりと暮らしている方がいい。

 そう思って十五年。
 損をしたことも得をしたこともない。
 しいていえば、成績がいい事だ。


   __高校に入って何かが変わるのだろうか?


 *


 カラカラとまるで漫画のようにいい音を出す教室のドア。
 教室にはすでに何人か人がいて、いずれも女の子だった。
 みんな、しゃべったり本を読んだりしている。うん、なかなか過ごしやすそうなクラスだ。
 黒板には綺麗な文字で 「自由に好きな席に座ること」と書いてある。
 さすが高校、自由である。
 そして私は 窓側の一番後ろに座る。

 何分か本を読んでいたら段々と席が埋まっていき、チャイムが鳴った。
 おじさんらしき教師が教壇の前に立ち、色々しゃべっていた。


  「それでは、自己紹介をお願いします」

 
 私は一番最後である。
 パンクな人、温厚そうな人、いろいろな種類の人がいた。
 私みたいな人も何人かいたが、二~三人の仲がいい人がいるようだ。
 変なことをもやもやと考えていたら、私の前の人が終わってしまった。
 
  「初野未来です。趣味は読書で部活に入る予定はないです、よろしくお願いします」

 
 昔から自己紹介はこれ一本なのである。
 特に近寄ってくる人もいないし、嫌う人もいない。ちょうどいいスペースである。
 今回も ブーイングなどなかったし、あるのは人の目と拍手である。


   次の部活動紹介なんて、どうせ熱血とか、くだらないことでしょ――。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

熱血なんて、くだらない。

主人公:初野未来  正南高校1年生

閲覧数:71

投稿日:2012/12/06 21:02:46

文字数:914文字

カテゴリ:小説

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