(こちらは初音ミクオリジナル曲SETUNAを元にした二次創作小説です。イメージを崩されたくない方の閲覧はお控ください)
原曲様http://www.nicovideo.jp/watch/sm4183964
こっちに来て2年がたった。
季節が2回巡った。
秋が2回来た。
「多いよ…お花」
ぎゅうっと
手に抱えたブーケを抱き締めて呟く
もうすぐ3年目の秋が来る
カイトと離れて3年目の秋が来て、またすぐに去っていく
何年でも待ってる
何年でも待っていられるよだって目を閉じたなら
私を見つめる貴方の目を思い出すことができるんだから
「カイト…」
―・―・―・―・―・―
「ミクだけを連れて行こうと思う」
突然マスターがそんなことを言った。
私たちは全員自分の耳を疑う。マスターはどこか遠い地に行くと説明した。それでマスターと一緒に行くのは私と決まったんだと。
「色々なものを見て回るんだミク。皆にミクの声を聴いてもらえるよ」
マスターは穏やかに私に言う。嬉しい、マスターに認めてもらえたみたいで嬉しい。
けど…
私はカイトに伏し目がちな視線を向けた。
カサリ。落ち葉を踏んで静かに道を歩く私の一歩後ろをカイトは歩いて。
お互い何も言わずに黙々と歩いた。
お別れ会の会場からそっと抜け出したのに何も言えなくて沈黙だけが流れている。
メイちゃんからもらった真っ赤な薔薇とリン達からもらった菫の花束を抱えて私が押し黙っていれば先に口を開いたのはカイトだった。
ゆっくり、視線を上げたカイトは晴れ渡った秋空を見る。
「凄いなーミク。頑張ってきなよ?」
カサリ、カサリ
カサリ
カサッ
私が止まればカイトも当然ピタリと止まるけど、私はカイトに顔を向けられなかった
もう、駄目…押さえきれない。
だけど最後になってこんなことあまりにも惨め過ぎるから
祝福してくれているカイトを困らせるだけだから
困らせるくらいなら私は……
「そうだね。兄さんなんかより私の方が凄くて当然なんだからね。心配しないでよ私は兄さんみたいにヘタレじゃないもん上手くできる」
背を向けたまま唇を噛んで一気に言った
酷い言葉を言って傷つけたらきっと未練もなくなると思った。
私を嫌いになって兄さん…カイト
なのに
「ああ」
そう言って微笑むカイトはどこまでも優しくて
優しいのは駄目なのに
私はその優しさに甘えて生きてきすぎた
だから突き放して欲しいのに
秋風に吹かれて胸から花束が崩れ落ちる
それに無言で手を差しのべる貴方は優しすぎた
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