注意:カイメイ風味です。
   オリジナルのマスターが出て来ます。
   それでもおk、な方はどうぞ。












「ということは、あの子達の願いも叶ったってことだね」
「え?」

 あの子、達?

「ミクもリンもレンもルカも、…がくぽもだったかな?」
「あ、はい。がく君もでしたよ」
「『MEIKOが幸せでありますように』って。ミクが随分心配していたからね。一番初めに飾る願いはそれにしようって」

 マスターの言葉につられて、顔を上げて飾られた笹竹を見る。既に飾られた短冊。

「って、数多くない、ですか?」
「皆、全員分をわざわざ名指しで書いてたんだよ。『幸せでありますように』って。僕もマスターも書いてもらったんだ」
「去年はわたしたちだけだったからね。そういえば、笹竹を飾りもしなかったね」

 大家族の私たち。お互いがお互いの幸せを願う。
 それは、何だかとても温かい光景のような気がした。
 やっぱり、家族が増えるのは、良いことも運んでくる。

「私も、…後で書きますね」
「うん、是非そうしてあげて」
「僕のことも書いてくれるよね?」

 何故わざわざ聞く。

「…まあ、考えとくわ」
「ええええええっ?!」
「うん。まあ、今のはKAITOが悪い」
「ぼ、僕っ?! 僕、ちゃんとMEIKOさんのこと書きましたよっ?!」
「見返りを期待してMEIKOの幸せを願ったわけ?」
「そんなことありませんっ! 僕はMEIKOさんと居られて幸せだから、MEIKOさんにも幸せで居て欲しいんですっ」

 …うわあ。
 コメント出来ずに絶句していると、マスターが改めてくすくすと笑い始めた。私に目線を投げて。

「MEIKO、顔赤いよ」
「ひぇっ?!」

 指摘に変な声を上げてしまう。っていうか、マスター、すっごい嬉しそうなんですけどっ。

「え? 大丈夫? MEIKOさん」

 だから…っ。真剣な顔で覗き込んでこようとするんじゃないっ。

「そ、そろそろ飲みましょうよっ」

 心配そうに私を見ようとするKAITOを空いた方の手で押しのけながら、マスターに向き直ってそう言う。
 顔が赤いのも、お酒のせいってことにしちゃえば良いのよね。うん。

 そんな私の心境を読み取ったかのようにマスターは改めて笑い出した。

「本当、可愛いなあ、二人とも。KAITO、MEIKOが嫌がってるんだからやめてあげなさい」
「う…、はぁい」

 …だからなんでコイツはこんなに拗ねるって行為が似合うのよ…。

「さて、と。それじゃ、わたしから一言」

 嬉しそうな微笑みを浮かべて、マスターが私たちの方を見る。

「一年前に比べてずっと賑やかになったけど、これからもよろしくね。MEIKO。KAITO」

 私たちの目をそれぞれに見ながら名前を呼んで。
 幸せそうに、乾杯、とマスターが告げた。




  
 約束の梅酒は、素朴で飾り気のない味。身体中に優しく染み渡っていく。
 …味わえる身体で良かった。ほとんど人間に近い身体で良かった。
 このマスターの元で、KAITOと出会えて、本当に良かった。

 これで、また来年を、楽しみに出来る。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

梅の季節 7

梅雨入りと梅酒とMEIKOをかけて、繋げて、女性VOCALOIDが増える話と七夕絡めるからこんなことに…。ちょっと、詰め込みすぎ…たかもしれません。
でも、梅酒エピソードが書けて幸せです。

これにて終了です。お付き合い頂き真に有難う御座いました。

…とか書きつつ、蛇足が出来ましたので置いておきます。

閲覧数:418

投稿日:2009/06/28 15:16:06

文字数:1,324文字

カテゴリ:小説

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