―――――一体、何人斬ってきたのだろう。





虹色の光を纏っていた我が愛刀は、いつしか深紅に染まり鈍ってしまっていた。





我が心は、黒く荒んでしまっていた。





たった一人の命のために、ここまで多くの人間を斬ったこともなかったろう。





せっかく洗われた心が、またも穢れてしまっていた。





ああ、誰か、誰かもう一度、拙者を救ってくれる者はおらぬだろうか……………。










そっと、墓の前に花を置いた。



墓地の片隅。拙者が初めて、強い想いを傾けた人間の墓だ。


この2か月ほど、ずっと追い続けていた敵が、遂に潰えたのだ。


彼は奴らに殺された。何の意味もなく殺された。


初めて誰かのために人を斬った。斬った。斬り続けた。


飛び散る紅は、拙者の愛刀の虹色を紅く塗りつぶしていった。


もう人を斬りたくない―――――そんな感情すら覚えてきた頃に―――――





―――――あ奴らが表れた。

拙者の心を救ってくれた者たちが。

圧倒的な力で、奴らを蹴散らしていった。


運も、神獣も、全てを味方につけて。


拙者がいくら探しても見つけられなかった敵の本拠地を、あっさりと見つけあっさりと潰してしまった。


それに文句があるわけではない。むしろ誰でもいいから、奴らを潰してほしいとさえ思っていたぐらいだ。


だが―――――これでは拙者が斬ってきたのはいったい何だったのか。


この犠牲が必ず敵の中心にたどり着くカギだと思って斬ってきたというのに。





拙者はいったい、何のために幾千の犠牲を払ってきたというのか……?





……考えても仕方がない。奴らは潰え、彼の仇はとれたのだ。もう何も言うまい。


「……いつかあの世で、酒でも飲み交わそう、マスター」


一言かけて、墓の前を去った。





さて、これからどうするか。


このまま町を去ってもいいが、特にやることもない。


しばらくここいらをぶらつくか―――――





そう思っていた時。





「あ……あれ!?」





聞き覚えのある声だ。そうだ、この声は。


拙者を雷で一打ちにした上、情けをかけて甦らせた、あの双子の片割れの声――――――――――





「……リン殿!」

「がっ……ががががくp」

「静かに! ……落ち着け、拙者は何もせん。他の者どもはおらぬのか?」

「うっ……うん、ちょっとひとりで散歩してただけだから……」

「そうか……いいかリン殿、拙者に出会ったことは決して他言するなよ!」

「わ、わかった!!」


何とか口止めはできた。しかしこんなところでこの娘に会ってしまうとは……。

しかも凄まじく気まずい。何とかしてこの場を脱したいところだが……。


「……あ……あのさ……」


先にリン殿が口を開いた。


「……黒猫組の組員、捕まえてくれてありがとって、ルカさんが」

「……拙者が勝手にやったことだ、例など必要ないと伝えてくれ」

「う……うん……あ、あと!」


少しためらった後、少しだけ笑みを作って振り向いた。





「がくぽさんがいなかったら、他の組員を気にせず本拠地に突っ込むことなんかできなかった、それも含めてありがと……って……」





……………!!



……何ともまぁ、人の心を見透かしたような言葉を送ってくる。

それともあの瞬間―――彼女にメッセージを送った時に拙者の心まで読み取ったというのか……?



何にしても、多少心が軽くなった。


「……一応、その言葉は受け取っておこう。それだけなら早く行け」

「う……うん。……あ、それとこれはあたしから……!」


走り去りながら、大声で拙者に向けて叫んだ。





「ちょっと遅れちゃったけど、誕生日おめでとう!! がくぽさん!!」





そのまま振り返ることなく、ホテルの中へと消えていった。



あの娘、拙者の誕生日までしっかりと覚えていたというのか……。



……今ならわかる気がする。なぜ、拙者が奴らに負けたのか。



全ての者に平等に向けることのできる想いを持つあ奴らに、拙者が最初から勝てる道理はなかったのかもしれないな。





さて、行くとするか。





愛刀に―――――虹色の輝きを取り戻すために、新たな生き様を探し求めて。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【がっくん誕生祭】穢れ~武士の葛藤~【黒猫組壊滅直後】

がっくんおめでとう!!
今日まで奥多摩に部活の合宿で虫捕りに言ってたTurndogですw

かなりあ荘の主要メンバーはみんな大体知ってるだろうから前置いての説明は簡単にしときます。
早い話が、黒猫組壊滅直後のがくぽの話ですw
ちょうど今頃ですね、ルカさんたちが八又町に来たのが8月1日、黒猫組壊滅が翌日なのでw
誰だい今『早っ!!』とか思ったの。ルカさんだから当たり前だろ?←
因みにがくぽが黒猫組にご執心だった理由はこちら
http://piapro.jp/t/ffzK

あとルカさんじゃなくてリンちゃんにした理由は三つ。
①実はルカさんがっくんとの恋愛フラグは立てないつもりなのだ!!他のキャラと絡ませたいからな!!(ネタバレ
②がくぽがヴォカロ町を襲った時がくぽを倒したのがリンちゃん(とレン)だから絡ませたかった。
③がくルカならゆるりーさんが専門だから任せた(`・ω・´)←ここ重要テストに出るよ!!

こいつ次いつ出そうかなぁ……ww

閲覧数:298

投稿日:2013/08/04 18:15:02

文字数:1,829文字

カテゴリ:小説

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  • ゆるりー

    ゆるりー

    ご意見・ご感想

    マスターという文字を見た瞬間、「あれ?がっくんのマスターってまだ生きてたよね?バカ学者だよね?」って思いました←
    よく考えたら酒場のマスターだった、という恥ずかしい勘違い。
    同じマスターでも全然違いますね。

    そしてあっさりと敵の本拠地(仮)を潰していくルカさん達。
    そこに痺れる!憧れるウウウウウゥ(((うるさい

    そしてがっくんの誕生日をしっかり覚えていたリンちゃん。
    そんなリンちゃんに「いい子や!めっちゃいい子!!!」とか言ってぎゅーぎゅーしたい(リンちゃんなう!

    そしてがっくんは新たな酒場を探しているうちに我が家のがっくんに会い、うちのがっくんのオススメの居酒屋で、二人で仲良く飲みましたとさ←
    え?うちのがっくんがお酒飲んでるの見たことないって?
    ちゃんと飲んでるんですよー、一回だけしか書いてないけど!!←

    ネタバレw
    そして最近空気と化しているレンw
    専門じゃないですwww
    テストには出ません!wwwプリントに出します(おい

    近いうちに、一瞬だけでもいいので出してあげてください…w

    2013/08/05 15:56:05

    • Turndog~ターンドッグ~

      Turndog~ターンドッグ~

      おっと、しまった!
      すっかりバカ学者の存在を忘れてマスターなんて言葉を使ってしまった!(悪役忘れたら物語成り立たねえよ

      ルカさんは最強なのですよ(真顔で何言ってる

      リンちゃんに誕生日おめでとうと言われたい。
      リンちゃんにケーキ作ってもらいたい。
      リンちゃんと一緒にローソク吹き消したい。
      リンちゃんなう!リンちゃんなう!!リンちゃんリンちゃんリンちゃんなう!!!(黙れ

      そしてそこにまたなんか乱入してきてマスターがやられがくぽ×2激怒と……無限ループって怖くね?(しねえよ

      まぁそのうち出てくれるでしょう……w

      2013/08/05 16:38:37

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