少女からの昔話が終わった。話しを聞いた側は、こう応えていく。

「抜群なネーミングセンスの魔法を使ったのはね、このマジックリンちゃんと、その弟であるレンのお父さんよ」

 まっ先に自分は、ガイアなる人物の子どもであるとアピールするリンであった。14歳の乙女(リン)にとって、ガイアスペシャル! シャイニングフォースの響きに格好良さを感じるのは親子だからだ。

「ふつうに格好良くないだろ、父さん。すいません、僕とリンの父さんがセガマニアで……」

 しかし、双子のうち弟はガイアの考えた技名に赤面してしまう。顔から火が出る夏の虫……と表現できるくらいレンは恥ずかしいと思った。敬語を用いて少女に謝っている。

「クリスっていうヒトは、私のお父さんですよ。PSPはたぶん、お母さんに内緒で買っていたのですね」

 ミクは当然、翡翠色の髪をした男性が自分の父親であると言った。どうやら携帯ゲーム機なる、モノを所持していた事について初耳だったようだ。

「ヴァンパイアの女性は、ぼくの母です……。ぼくにはゲームを禁止していたのに……母さん、モンハンしてたんだ……」

 フーガは幼い頃、引きこもりになるといけないからとゲーム禁止令を出した張本人(バーバレラ)が“卑怯戦隊”の一員だと思ってしまう。

「やはり、ジークレフを持つ旅人さんたちでしたか。私は、この出会いに運命を感じます……」

 幼い頃に助けてくれた大人たちと目の前に居る4人の繋がりを把握できた少女は何故か、運命を感じると発言した。

「私たちに運命をですか?」ミクはそう答えた。

 自分たちにどういう運命を感じているのだろうと、少女の考えが解らないからだ。

「貴女たちは光りの聖者ですね。ここイルヴァルス大陸に残る伝説では、闇の者がイルヴァルスへ堕りしとき、光の者がイルヴァルスに現れる……と古くから言い伝えがあるのです。その言い伝え通りなら、この大陸は間もなく闇によって悪意の渦に染まるのかもしれません……」少女の語り口調は、意味深な物にへとなっていた。

「な〜に言ってんのよ、あんた。これだけ平和な国がさ、悪意のなんとかに染まるわけないじゃない?。それにあたしたち、この国でGを稼がないとおサイフ事情がピンチなの」

「そうなんです。私たち、このままだとアンハッピーリフレインなんです。お金がないので仲間たちと“裏表”のない旅が続けられません。満身創痍で絆がゲームオーバーしちゃいそうです。だから、ここでクエスト受けています」

 リンとミクの2人は、自分たちのパーティーがフォレスタ・キングダムに居るのもGを稼ぐためであると説明した。さらにジークレフを所持する仲間を探してはいるが、現在は手掛かりが無いため【ふりだし】に戻る状態である。

「いや、ミクちゃん。けっこうズルいことを僕にしてるよ。自覚ないかもだけど、裏表アリありだし」

「レン君っ! 私の評判を……さげないで……」

 リーダーは仲間からの言葉に涙を浮かべていた。過ぎてしまった事とは言えあの日、大好物のメロンパンを諦め切れなかった自分を悔やむ。
 そんなやり取りを見ていた高貴な少女は、クススッと笑っていた。同時に年齢の近い彼女(ミク)たちがしている自由な旅に憧れを抱いている。

「そうですね……私の思い過ごしかもです。私は貴女たちが羨ましい。一度でいいから、この大陸以外のセカイを旅してみたいです」

 少女が放つ言葉の真意は、この国で生まれ持った現実から逃避したいと願う心意が込められていた。

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次話
https://piapro.jp/t/vCGi

アンハッピーリフレイン
ヒトリエverの動画リンクを貼っておきます
ボーカルのwowakaさんによる魂の歌声を聴いてください
https://youtu.be/mNqQUmUEaso

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投稿日:2020/02/10 00:49:02

文字数:1,470文字

カテゴリ:小説

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