私のところに、毎日沢山の患者様が来る。
その時に、気づいた。



誰もが悩みを抱えている。
父も母も、街の人達もみんな。
みんなの悩みは、‘夜に眠れない’
その人達のために、giftを作る。
眠れるし、どの病気にも効く薬を。
それは、嫌な現実や叶わない思いを、夢の中で忘れさせる。

だから、みんなは、giftというゆりかごの中で赤子のように、
目を閉じたまま、身を委ねればいい。






眠りなさい。この魔法の薬、giftで。

よく眠れる、このgiftで。

そんな私は眠らせ姫。

使命は、‘みんなを眠らせること’

あなたの‘幸せ’の為に、全力を尽くしましょう。
































**********


〔ブランケンハイム侯爵、死去〕
〔医者のフェリクス氏、危*壮絶〕
〔*で24名死亡。原因は不明〕
〔トラゲイの奇病騒動、収*〕
〔事件の背後に犯罪組織『ペールノエル』の話?〕
〔エルフェゴート政府、フリージス財閥に調査を依頼か?〕
〔アケイド、トラゲイ*の通行が禁止〕
〔フリージス財閥、調査**トラゲイに派遣。〕
〔トラゲイ、壊滅状態。〕


**********



















































数日後。トラゲイの町は、



静かになった。







私のgiftを、みんなが飲んだ。

そして、みんな‘幸せ’になった。

ただ一人だけ、眠れない私。

そんな私は、‘幸せ’の代わりに、

報酬として自由と‘財’を得た。






















眠りなさい。この魔法の薬、gift[毒]で。

よく眠れる、このgiftで。

そんな私は眠らせ姫。

あの地獄のような日々から、‘希望’を求めた、哀れな女。





だって、もう耐えられなかった。

あんなお飾りのドールのように、周りに利用されるだけの日々は、嫌だった。

もう私はとっくに壊れていた。

だから、すべてを壊したかった。

幸せな人間を。




あの時、ジュリアに言われた言葉。




『そうそう。あとね、マルガリータ…
 あなた、もうこんな日々は嫌なんでしょ?
 だったら、壊せばいい。
 この薬、giftは英語で‘贈り物’という意味を持ってる。
 でも、ドイツ語では‘毒’という意味なのよ。
 だからあなたは、毒という幸せを配る‘‘眠らせ姫’’になりなさい。
 あなたはもう「ペールノエル」の仲間よ…
 ようこそ。フフフ…』








本当に、よく効く薬だね、このgiftは。

だって、‘永遠に眠れる’ほどによく効くんだもの。

さて、『サンタさん』から与えられた使命も終わったし。

これで、ようやく私も眠れるのね。

眠らせ姫から、眠り姫に…





***************






とある犯罪組織の長によって洗脳された医者の娘、マルガリータ。

そのマルガリータの手によって、トラゲイは死の町と化した。




彼女は医者の娘だから、giftがどんなに危険なものかはわかっていたのだ。

町の人々も、医者の娘が言うんだから間違いはないだろうと、マルガリータを疑わなかった。




giftを配るうちに、気づけばマルガリータは快楽殺人者となり果てていた。

それは彼女の意思と、ジュリアの洗脳のせいなのだろうか。




なぜ彼女がトラゲイの町で集団殺人を起こしたのか。

その真相は、マルガリータ自身が自殺したことにより、闇の中にある。











**********




物音一つなくなってしまった町、トラゲイ。
そこに、二つの人影があった。

二つの影は何やら話をしている。
そして、呟いた。



「行きましょう、グーミリア。ルシフェニアへ。」

「はい、エルルカ」



二人の影は、何処かへと立ち去った。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

眠らせ姫からの贈り物 後編【自己解釈】

新聞記事のわからないところは*にしてあります。
本家様 http://www.nicovideo.jp/watch/sm14539838

閲覧数:2,806

投稿日:2011/10/31 19:06:14

文字数:1,651文字

カテゴリ:小説

ブクマつながり

もっと見る

クリップボードにコピーしました