『…そんな事無い。置いてかないから、ちゃんと聞くから、ちゃんと言おう…?』
ぼんやりした頭の中に言葉が響いてた。重い瞼を開けると高い天井が映った。どの位眠っていたんだろう?辺りはもうすっかり暗くなっていた。
「浬音?」
「密さん…。」
「ん、起きなくて良いよ、そのまま。」
起き上がろうとしたのを手でそっと制されたので、顔だけを密さんの方へ向けた。ひんやりしたタオルが額に乗せられる。
「気分はどうだ?倒れたって聞いてびっくりしたよ。」
「…熱があったの自分でも気付かなくって…朝は全然平気だったんです…。」
「走ったからかな?課題で。」
頬に手を当てられてその親指がつっと唇をなぞった。途端に心臓が跳ねる。
「あの…密さ…んくっ…!」
口に指を入れられ声が詰まった。口の中に甘い味が広がる…これ…蜂蜜…?
「ん…く…!んぷ…!んっ…!」
「美味しい?」
クスクス笑いながら指で舌を弄ばれた。甘い味と温かい指が絡まるみたいにまとわりつく。動く指を思わず噛み付いちゃいそうになるのを必死で堪える。
「んっ…ぷはっ…!ひ…密さん!」
「ごめんね、ちょっと意地悪したくなった。」
「意地悪って…。」
「膝枕してたし?」
「あ…あれは…!」
「キスしてたし?」
「それも…課題で…!」
「判ってるよ?介抱しただけ、課題をクリアしただけ、そんな事は俺だって重々
承知してるから。」
笑ってるけど…何か怒ってる…。うぅ…ちょっと恐い…。でもどっちも不本意と言うか、仕方無くと言うか、私の意思完璧無視してる気がするし…!立ち上がった密さんのシャツの裾をきゅっと掴んだ。
「…駄目だよ、起き上がっちゃ。」
「お…置いてかないで!」
「ん?」
「嫌いに…ならないで…。」
「…ならないよ…。」
「ごめんなさい…!我が侭言って…でも…でも…一緒に居たい…です…。」
唇にまた手が触れた。密さんはこっちを見ずに手で私の口を軽く塞いで言った。
「病人相手でも止められなくなるから…そんな顔でそんな可愛い事言わないの。」
DollsGame-47.月見草-
逆にエロイと思った自分は負けでしょうか?
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