仔犬が哭くから 帰りましょ
眠る木陰に あかるく陽が燃える
わけもなく 悲しくなるから
甘い涙で螢を喚ぼうか
あの星の名を そっと耳許で
教えてくれた あなたの聲が
今もこの耳 火傷のよに残るので
脇目振らずに 駆け抜けたいのに
烏が呼ぶんです
僕がつまづいた 小石は天の川に
孵せないから川に投げて
あの星の名をつぶやく
手を合わせたら ねむりましょう
カーテンの向こう 明日は桜かな
人差し指に 光るのは
七星天道 七星の柄杓
あの星の名を 繰り返せば
朝露に似た涙が落ちて
風にすっかり 乾くまで待てないので
春に合わせた 星座早見で
じっと扇ぐんです
僕が転んだ 下り坂の果てはここ
君の名前 呼べないから
あの星の名をつぶやく
僕がつまづいた 小石は天の川に
孵せないから川に投げて
あの星の名前を
あの星の名をつぶやく
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