後日、東国からの使者の二人は正式に女帝と謁見を果たしました。
「我が国も出来る限り貴国に協力したいと王が申しておりました」
赤の騎士と青の騎士は恭しく頭を下げました。

「それは有り難いこと、東国の王によろしくお伝え願います」
女帝は微笑んで返しました。
「この度のこと、ご心配をお掛けして大変申し訳無く思っております。
色々とありがとうございました赤の騎士殿、東国の王子様」
姫君は二人に微笑みかけました。

赤の騎士は驚き目を見開いています。
「…何故お分かりに?」
青の騎士…もとい東国の王子は微笑みながら姫君に問いかけました。
「お腰の剣の国章の入った宝石(いし)の大きさ…そのサイズは王族の方のものかと。
それに貴方様の立ち居振る舞い、とても優雅で騎士らしくないと思いました」
姫君はつらつらと語りました。

「修行が足りませんでしたね、王子」
「参ったなあ…」
赤の騎士と王子は苦笑いをしました。








「君にも沢山苦労をかけたね」
「いえ…私は陛下がお幸せでしたらそれで良いのです」
ある日の昼下がり、女帝は姫君に仕事を任せ一休みしていました。
傍らには桃色の髪のメイド長が。
「いつもありがとう。感謝している」
女帝はメイド長に微笑み、メイド長は照れたように薄く微笑み返しました。








「君のお陰で毎日よく眠れるよ」
魔法使いは執務に取りかかっている姫君の傍らにいました。
「それは良かったです。魔法使いさんには感謝してもしきれませんから」
姫君は幸せそうに微笑みました。
「そろそろ私も遺跡に戻ろうと思う。流石に職務放棄しすぎかなと思ってね」
「そうですか…寂しくなりますね」
姫君は悲しげに顔を歪ませ、折角仲良くなれましたのに…と小さく呟きました。
「また遊びに来るから、その時は歌を聴かせておくれ」
「はい!」
姫君は顔を綻ばせて頷きました。








「本当にすまないことをした」
女帝は金糸雀に頭を下げました。
「もういいんです。僕達は気にしていませんから、本当に気にしないで下さい…」
「女帝様がまた歌を愛してくれるなら私達はそれだけで嬉しいです」
金糸雀は飛び立つ時にそう言いました。
「また遊びに来ますから、今度は女帝様の歌声聴かせて下さいね!」
「楽しみにしてます!」
溢れんばかりの笑顔で、金糸雀は手をつないで空に飛び立ちました。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

うたものがたり ~それぞれの穏やかな日々~

後日談(というかおまけ)です。
いらん裏設定を暴露。

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投稿日:2010/07/02 01:03:42

文字数:1,000文字

カテゴリ:小説

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