満月の夜に出逢ったウサギは、
ころりころりと謳ってた。
はねが あるのに ちょうちょが いない
まゆが あるのに かいこが いない
たまごが あるのに きみがない
ぼくが いるのに きみはいない
きみは いない
あなたはだあれ?
と、訊ねたら、
おやおや、君は迷子だね。
ボクはフクロウサギだよ。
いないのは、だあれ?
と、訊ねたら、
来ないのは、オウロウサギだよ。
時間はとっくに来てるのに、
このマンホールに来ていない。
こちこち、時計を耳にあて、
おかげでボクは、待ちぼうけ。
うたでもうたわにゃやってられんよ。
ころころ、ウサギは笑ってた。
おこらないの?
と、訊ねたら、
今は馬鹿だから当たり前。
ボクもこないだオウロの時に、
さんざ暴れて迷惑かけた。
面倒見るのもフクロの仕事。
どうしてばかになってるの?
地中で地球を回すうち、
地熱でゆだって馬鹿になる。
だからひとつき交代で、
頭を冷やしに月へ行く。
チチュウでチキュウを回すだなんて
かんがえただけでいきがつまるわ。
あなたはつきからきたところ?
そのとおり。
のんびり薬を搗いてたが、
めでたく疲れを払い終わって、
地中の役目に戻るとこ。
せっかくあたまがひえたのに。
またすぐばかに、なっちゃわない?
そしたらフクロに迷惑かけて、
頭を冷やしに月へ行く。
わたしだったらもどらない。
ふさがってるいきはきだして
あたまのくらくらなおるなら。
わたしは頭を左右に振った。
吸ってる息の吐き方を
今だけ忘れているからさ。
まあるいつきをみていたら、
なんでもゆがんでみえてきて、
こわくていきができないの。
ボクらの搗いてる薬の欠片が
満月から散らかるからさ。
迷子の自分に気付いたら、
びっくりするのは当たり前。
もしもわたしがまいごなら
はやくつきへとかえりたい。
オウロウサギじゃないキミの、
帰るところは月じゃない。
だってわたしもくすりをつけば、
あたまのくらくらなおるはず。
ねだるわたしをウサギが撫でた。
月は何にも見捨てやしない。
決してキミも落とさない。
しっかりお目目を見開いて
空をゆっくり眺めなよ。
できないの。
なみだがでてきてしまうから、
のどからさけてしまうから。
月が誘い出すからさ。
地球がはらむ、紅いもの。
月に向かって吼えるのは
キミばかりじゃあないんだよ。
夜が解かしてくれるから、
朝が迎えにやってくる。
絶対迎えにやってくる。
月が満ちたら欠けるよに、
欠ける前には満ちるよに。
波が寄せたら引くように、
引くのに必ず寄せるよに。
それとおんなじようなもの。
ちょうちょは はねを
かいこは まゆに
きみは たまごへ
ぼくは きみと
ぼくは きみと
さあ、こうたいだ
涙で湿った布団の上で
大きく息を吐き出した。
するりと出てみたベランダで
朝日が白く目を射った。
世界は変わらず歪んで見えて
凸と凹とが噛むから回る。
頭がくらくらしてきたら
フクロウサギとまた月見でも
しに参りましょうかと呟いた。
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