一般客を避ける様に私達は最上階に呼ばれた。スペシャルスイートらしく広々として静かだった。部屋に入るとプレイヤー以外にNPCの人達も集められていた。
「全員揃ったみたいだね。」
「社長、今回の課題私達も内容聞いてないんですけど。」
「それを今から説明する所。はい、じゃあ皆さんに先ずこのプレートを持って貰います。
名前入ってるから自分の名前の物を取ってってね。」
渡された金のプレートには「chicory」と大きく名前が彫られていた。他の皆も同じ様に大きく名前の彫られたプレートを手に取っている。
「このプレートは『Treasure』つまり大切な宝物として使用します。明日の正午までに
これを誰かに預けて下さい。」
「…はい?」
「宝物ですから大事な人に渡すも良し、友達同士で交換も良し、必ず誰かに渡して
下さい。はい、じゃあ解散。」
解散と言われても…これってつまり渡すイコールちょっとした告白みたいなもんじゃないの?!皆の様子を伺うと、それぞれが困った様に顔とプレートを交互に見ている。そりゃあそうよね、こんな判り易い物無いし、断られても恥ずかしいし…どうしようかしら…?女の子同士で交換もアリなら皆で…。
「浬音さん、受け取って貰えますか?」
女の子同士で…。
「優花、これ…。」
友情っぽく…。
「え?猫さんこれ…わ、私に?!」
皆で…。
「ナスくーん面白いから受取って~♪」
ど・い・つ・も・こ・い・つ・も~~~!!ああ、いっそ殴ってしまいたい!!何なのよあっちでもこっちでもラブラブ真っ盛り?!どうせ私は純粋にゲーム楽しんじゃってるわよ!色気もへったくれも無いわよ!
「痛ぁ!!」
イライラしながら廊下を歩いてたら思い切り誰かにぶつかってしまった。
「ごめんなさい…えっと…ディーさん、かな?」
「合ってるわよ…こっちもごめんなさい…。あ!チコリさん!ねぇねぇプレートって
どうした?!」
「どうって、渡せなくて困ってますよ、皆ラブラブっぽくて入れないし。」
「そうなのよ!香澄はバカヲタに取られちゃうし私も困ってたの!」
「チコリに門番、何してるんだ?」
「あ、ラビットさんも!プレート渡す相手居ないなら三人で組まない?」
「三人って、私達で?」
「うん、この三人でプレート交換すればルール上は問題無いでしょう?」
意外な人からの持ち掛けだけど、渡りに船よね。
「その話乗ります。」
「私も構わないぞ、困っていたしな。」
何やるか知らないけど、なる様になるわよね?
DollsGame-114.山桑-
最強だと思うよ、うん
コメント0
関連動画0
ブクマつながり
もっと見る集合時間になり、ロビーにぽつぽつと人が顔を見せる。何だか皆お互いの様子を伺う様に距離を置いて気まずい空気だった。沈黙に耐えられず辺りを見回すと、カチッと目が合った。真っ赤な長い髪が凄く目立つ。
「あ、昨日のうるさい人。」
「メオです、失礼ね…何か用?拳銃君。」
「別に?なーんか空気重かったからさ。」...DollsGame-22.菜の花-
安酉鵺
目の前のカードに段々とイライラして来た。飄々と笑ってるトカゲにはうっすらと殺意すら浮かんでいた。
「あんた…絶対何かしてるだろ?」
「とんでもない。」
「ババヌキでもボロ勝ちって有り得ないだろ!」
「それは君の頭が悪いからだよ。」
「あぁ?!ガキは黙ってろ!」
「ちょっと黙ってて!」
「お?やっと火...DollsGame-57.ルドベキア-
安酉鵺
案内された衣装室で思わず声を上げてしまった。色取り取りのドレスや着物が森みたいに並んでいた。
「凄ーい!こんなに?!」
「た、確かに迷うわねぇ…。」
「かくれんぼ出来そうだな。」
「ここから向こうは着物で、こっちからドレスになってます。」
服に興味がある方では無いけど、こんなにドレスがあると流石にわ...DollsGame-95.ピナス-
安酉鵺
流石にマントが熱く、重くなって来た。あの二人一体何時まで逃げるつもりなんだろう…?走り疲れてベンチで休んでいると、数人の子供がこちらを遠巻きに見つつ何やらコソコソ話してる。
「せーの…!それー!」
「飛んでけー!」
子供が持っていた風船を手放し空へ放った。蓄光塗料で絵が描かれた風船は暗闇にぼんやりと...DollsGame-130.シュロ-
安酉鵺
もうもうもーう!走りっ放しで疲れた疲れた疲れた―――!!汗は掻くし髪だってグシャグシャだし、プレートは勝手に奪われてるし…!ナス君お間抜け過ぎ!期待してた昼ドラも見れないし…。
「もーう!」
「はいはい、イライラは良くないよ。」
「ジャックさんは花壇ちゃんに預けてるんでしょ?なら自分は安全圏じゃない...DollsGame-125.野萱草-
安酉鵺
人に見られるのも、暑苦しい喧嘩も、何かに執着するのも、実はそんなに好きじゃない。かわそうと思えば幾らだってかわせるし、回避出来る物は出来るだけ回避したい。だけど…。
「お前が倒れるか、俺が膝を付いたら終了だ。」
「な…?!」
「お前は俺に勝てない。今迄も勝った事無いだろう?」
「…なめるな!」
心の...DollsGame-128.夕霧草-
安酉鵺
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想