続いてローランドから雇われ近衛兵となった4人に説明が入った。それは、クエスト中に寝泊まりできる寮のことである。募集の際にも【衣食住が揃っていて かなりお得!】とあったのだ。

「このローランドの居る部屋から出て回廊を西に歩くと、君たちが住める寮が在る。男女共同の4人部屋だが、それでも構わないか?。共同部屋が嫌なら別々に分けることもできるが…」

 自分は、カリスマ騎士だと自称するように団長として部下への気遣いができる良い男ローランド。まだ若い男女4人を、同じ屋根の下へ泊まらせるのは“アウト・オブ・アウト”にならないかと顧慮(こりょ)している。

「共同部屋でだいじょうぶです。逆に私たち、“どこでもいっしょ”じゃないと、そのほうが不安になります」

「そうか……。ポケステが必要なくらいに、仲の良いパーティーだな」

 ローランドは、ひと安心した。目の前の若者たちに、余計な心配をせずとも深い絆の仲であるとわかったからだ。

「では、リーダーのフジタよ。寮に入れば12時の昼食まで、これを読んで皆に言い聞かせるんだ」

 続けざまにミクへと本を手渡したローランド。その本にはこう書かれてあった。

[騎士が秩序を護るのは寮生活から Ver 2.0]と題名が記されている。

「これはなんですか?」

「我が国は、イルヴァルス大陸の秩序を護らなければならない言い伝えがある。だが、騎士たちは広大な大陸の秩序を護る前に寮の中から自らを見つめよ、と…この本に書いてあるんだ」

「わかりました。部屋に向かったら読み聞かせますね」

「頼むぞ、リーダーフジタ。このローランドために、仲間たちへ秩序を教えるのだ」

 会話のあと、ミクたちは団長室を跡にして、兵舎の回廊を西へ歩んでいった。寮へと向かう最中、石造りで建てられた回廊内に飾られる鎧があった。
 ランタンの灯りを反射させて白銀に輝く鎧には、表面に彫刻で装飾が施されており、豪華な印象を見る者たちへ与えている。

「カッコいい……ッ」

 鎧の造型に思わず言葉を漏らしたレンは──僕も大きくなったら、こんな鎧を着て魔王と戦ってみたい──と厨二病全開な内なる声を呟いていた。

「すごい鎧だね……これは、なにかのイベントで着るやつかな……?」

 他のメンバーよりも大人であるフーガは、飾られている豪華な鎧が戦闘用ではなく、パレードなどの用途で使われる鎧であると感じた。
 実用性よりも、それを装備した騎士が見たヒトを魅了してしまうような力が鎧にあるのだ。

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G clef Link カリスマ騎士ローランド8

次話
https://piapro.jp/t/OOt_

実際にルネサンス期でミラノの騎士たちが着ていたカッコいい鎧があります
イメージをわかりやすく伝えたいので↓に貼ります

https://artsandculture.google.com/asset/parade-armor/1AHzOUcJYGO0Vw

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投稿日:2020/01/27 18:13:50

文字数:1,055文字

カテゴリ:小説

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