私が覚悟を決めていた丁度その頃、初音さんは私を放置していた事に気が付いたらしい。少し申し訳なさそうな顔で尋ねてきた。
「あ、ゴメン! わたしまた一人で決めちゃってた…。あの、大丈夫、だよね?」
彼女の問いに、私は力強く頷いて答える。
「うん、大丈夫。私、もう一度頑張ってみる事にするよ!」
彼女は私の返事を聞いて、途端に嬉しそうな顔になった。
「良かったー! じゃあこれからは、一緒に頑張る仲間だね!」
その言葉に対して私は苦笑しつつ答える。
「まあ、まだ入れるかどうかは分からないけどね。そうなったらよろしく、初音さん。」
それを聞いて彼女は笑いながらこう言った。
「あはは、平気、平気! 心配無いって。さっきも言ったけど、きっと大丈夫だよ!」
そして更に彼女はこんな事も言ってきた。
「あ、それと、未来で良いよ。だって友達なうえに仲間なんだから、“さん”付けなんて変でしょ? もちろん、わたしもこれからは奏って呼ばせてもらうからね!」
「え!?」
私はそれを聞いてなんだか気恥ずかしくなる。誰かと名前で呼び合うのなんて久しく無かったからだ。けれど同時に本当に友達なんだ、と嬉しくもなる。
私は少し照れながら、笑顔で改めて挨拶する。
「えっと、その、じゃあ…。未来、これからよろしく。」
そんな私の挨拶に、彼女は満面の笑みで応えてくれた。
「よろしく、奏!」

 すっかり暗くなった空には、まるで私達を見守るかの様に月が浮かんでいた。


そして数日後。私達は音楽準備室の前に来ていた。誰かが練習中なのか、中からは歌声が聞こえてくる。
「さ、皆に改めて紹介しないとね! じゃあ、行くよ?」
そう言って未来が扉に手を掛けた。しかし、私はそれを制止する。
「待って、未来。扉は、私に開けさせて。」
「え? …うん、分かった。頑張ってね、奏!」
未来は少しためらったが、私に道をあけてくれた。私は扉の前に進む。
きっとこの扉の先には、けして避ける事のできない、人との関わりが待っているだろう。その始まりを自らの手で開ける事、それが私なりの過去とのけじめのつもりだ。
私は扉に手を掛ける。けれど、いざ開けようとすると不安が押し寄せてきて、私の足を竦ませる。体が上手く言う事を聞かなくなる。私はそのまま扉の前で立ち尽くしてしまった。
 そんな時、隣に居る未来が声を掛けてきた。そしてそっと私の手を握る。
「大丈夫。わたしが、ついてる。」
その励ましに、手の温かさに、私は意を決して扉を開ける。
―ガラッ
「あの、こんにちはっ!」



 ―こうして私は、再び始めるための一歩を踏み出した。新たな決意と共に…―

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

闇を照らす光 9 ~新たな決意・後編~

お、終った…。今度は逆に短いです。極端だな、私。まあ前編が長すぎるだけかもしれないですが(^_^;)

終わりっぽいですが、まだもうちょっとだけ続きます。それにしても、前回から2か月以上空いたのにそれでもまだ完結できないってひどすぎる…orz (しかも折角頂いたアドバイス活かせてないし…。申し訳ありませんっm(_ _)m) つ、次こそはホントに終わります!

それと、間が空いたせいで語りとか口調が微妙に変わってる様な気がしますが、それは気のせいです。…気のせいです!

最後までお読み下さり、ありがとうございました!

閲覧数:154

投稿日:2010/10/26 01:22:31

文字数:1,102文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました