※警告という名の諸注意、やっちゃったよセルフパロ
・帯人×女性マスター(篠武)
・カイトは出てきません
・妄想による世界観、しかも本家よりダーク。
・オリキャラ満載(オリキャラは名前・設定ともにシャングリラと同じ・若干性格は変わっている場合もあり)
・帯人はアンドロイド・機械的な扱い、表現を含む
・女性マスターの一人称が『オレ』
※ここ大事※
多分いないとは思いますが…万が一、本家シャングリラを少しでも気に入ってくださっている方がおりましたら、今すぐ全力で引き返してください!本家シャングリラとは一切関係ありません。悪いのは全面的に私ですorz
恐らくツッコミ処満載ですが、エンターテーメントとして軽く流して楽しんで頂けると幸いです
上記が許せる方は、自己責任で本編へどうぞ
☆☆☆☆☆☆☆
26.
SIED・TAITO
真夜中の通路に、裸足で歩くぼくの足音がぺたぺたと響く。
辿りついた部屋のドアを、音を立てないように気を付けながら開けると、そっと中の様子を伺った。
(寝てる…、)
奥のベッドの盛り上がりが、微かに規則正しく上下するのを見て、素早く部屋の中に入るとドアを閉める。
真っ暗な中でも、ぼくの目はよく見えるから、迷わずベッドの傍らまで行くと、盛り上がりの上に屈み込んだ。
(…よかった。篠武、もう苦しくないみたい、)
あの後すぐに処置を受けて、一命を取り留めた彼女は、点滴に繋がれたまま穏やかな表情で眠っている。
(どうしよう…、)
様子を見にきただけだったけど、可愛らしい寝顔を見て安心したら、このまま帰るのが惜しくなった。
ぼくは意を決すると、彼女の寝ているベッドに手と膝をついて、ゆっくりと乗り上がる。
ギシリと軋む音にも構わず、無防備に横たわるその身体の脇に、起こさないよう気を付けながら滑り込んだ。
(…暖かい、)
パジャマ越しに感じる温もりと、柔らかい胸の奥から響いてくる心臓の音を枕にして、ぼくも静かに目を閉じる。
このまま、離したくない。ずっと一緒にいたい。
(そう願ってしまうのは、ダメなこと…?)
目が覚めたら、伝えよう。篠武は優しいから、きっと困らせてしまうかも知れないけど。
でも、どうか受け入れて欲しい。ぼくを、愛して欲しい。
27.
SIED・MASATAKA
驚いた、まさか篠ちゃんがあんな行動をとるなんて…。
アンドロイドにキスしたことじゃない、成分もわからない薬品を何の躊躇いもなく口にしたことだ。
あれは人口生体組織の安定を図ると同時に、代謝を促進させてより強い素材へとシフトしていくよう、僕が調合した特別なものだ。
あんなもの人間が飲んだら、血圧の急低下、意識混濁、内臓の機能不全を起こして死んでしまう。
あと十五分処置が遅かったら、どうなっていたか。
まぁ、…事前に説明しなかった僕も悪いけど。
(そうまでして、あれを守りたいのか…?もう少しで死ぬところだったんだよ!?)
だから、別に妬いているわけじゃなからね。
(まだ、わだかまりもあるし、受け入れる気にはならないけど…、)
理由も何もわからないけど、篠ちゃんが身体を張ってまで助けたいって言うんなら。
仕方ない、不本意極まりないけど…少しくらいなら協力しても、いいかな。
帯人、だっけ。
あの薬は、一回服用したくらいでは、まだまだ不十分だ。せめて一日一回、一週間は続けないと。
(味も改良して、もっと飲みやすくして…、)
最初は点滴式や注射も考えたけど、脆い皮膚に針なんか刺したら本末転倒だから、どうしても経口服用薬にせざるを得ないから…あ、カプセルって手もあるか。
「あー…、真剣に考えちゃって…僕も馬鹿だな、」
自嘲気味に笑いながら、僕は本格的に薬剤調合をする為に、設備の整った研究施設へと戻った。
28.
SIED・SINOBU
苦しい。
なんだこれ、身体が締め付けられるような圧迫感で、呼吸がすこぶるし辛い。寝返りを打とうにも、まるで太い鎖で絡めとられたように身動きを封じられている。
「ん、…何?」
堪らず目を開けると、視界一杯に広がる艶やかな黒い何か。
(…髪?…頭?…誰の………あっ、)
漸く覚醒してきたオレは、そこでやっと自分の状況に気が付いた。
「…帯人ぉ、…重いよ、」
唯一被害を免れていた、何かの管のついた右腕を持ち上げ、オレの身体にしがみ付き眠る帯人の頭を軽く撫でつける。
どんなに撫で繰り回しても、全く嫌がる素振りを見せないから、つい調子に乗って気付けばよく撫でてしまう。
「……篠武?…おはよ、」
寝起きのせいか、いつもより掠れた声で挨拶する彼が口元を拭っているのが見えた。
ちょ、まさか人の胸に涎とか垂らしてないだろうな!?
「ん、おはよ。…ってか、何でここにいるんだよ、」
狭くね?しかも、思ったより体重あるな…あ、アンドロイドだからか?
「…あのね、ぼく…どうしても篠武に伝えたいことがあって…、」
「うん、」
それと、人のベッドに無断で忍び込むのと、何の関係があるんだろうか。
「昨日、ぼくのせいで篠武が…倒れちゃったから、」
「………あ、」
ああ、うん、そうだ、思い出した!!確か昨日、あのクッソ不味い薬のせいで死にかけたんだっけ…。
なるほど、だからこんな点滴なんかついてんのか。今気づいたわ。
「もしかして、心配してここに来てくれたのか、」
薄く残ってる記憶の中で、帯人は何度もオレに謝りながら、動けなくなったオレをずっと抱き締めてくれていた…ような気がする。
「もう一度、ちゃんと、…謝りたくて、」
「あれは…お前のせいじゃない。オレが後先考えず勝手にやった結果なんだから、」
そう。『口移しなら飲んでもいい、』って言うから、この機会を逃したら、もう絶対飲んでくれないと思って衝動的に突っ走ったオレが全面的に悪い。
でも、まー君もまー君だよね、そんな危険極まりない薬なら先に言っといてくれれば…。あー、いや、知っていてもやったかも、あの状況なら。
「…ありがとう、やっぱり篠武は優しいね、」
まだ寝そべったまま、オレの上からどこうとしない帯人が、上目遣いで見上げてくる。
起き上がれないから、出来れば早急に開放して欲しいのだけど。
(ん、…何だろう、)
彼の表情が、昨日までのものとは何処か違うような…。
心なしか、はにかむ頬は仄かに染まり、眼帯のない左目は僅かに潤み紫炎に揺らいでいる。
「あの…ぼくね、篠武が好き。大好きなんだ、だから…ね、」
ずっと一緒にいたいな。
そう囁いて、再び身を摺り寄せてくる帯人の熱い吐息を胸元に受けて。
(えー…っと、それは…どういう意味?)
人間的経験値の低いオレは、真意を汲み取ることができず、頭を悩ませた。
拝啓、正隆様。
帯人が粗悪な不良品だとは、オレには到底思えません。
それよかむしろ、オレより遥かに優秀ですorz
続く
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