何度目だろう
病室の窓から君の好きな花を見続けたのは
小さく黄色い
花は今でも
何よりも大きく咲いているよ


「お兄ちゃんの目は灰色だよね」
それが初めて交わした言葉で
死にかけていた僕の目の前に
いつも生き生きした少年がいた。

ぼくの好きな花を教えてあげる
病室の窓から見える黄色い花
小さくてたくさん咲いて明るい色で
まるでぼくみたいじゃない?
    

無邪気に笑う
君の笑顔が
僕の大好きな小さな居場所で
太陽のような
黄色い花は
僕の未来を照らしてくれた。


あくる日もあくる日も君はいた
朝は毎日おはようを言う
絵を描くのが大好きな君
僕の似顔絵も描いてくれたね。

何十枚も描き続けた君の絵
一番新しい絵のタイトルには
「ぼくのいのち」なんて力強く書かれてた
画用紙いっぱいの花


無邪気に笑う
その笑顔には
僕も母も父も知らない顔が
春が終われば
綿毛になって
どこへ飛び立ってしまうんだろう


荒れ狂う風
高鳴る波
揺れる木の音
落ち乱れる葉
ふと窓の外
花びらが舞い
雨に乱れて黄色く染まった
まるで画用紙に塗った黄色みたいに


突然の声
泣き声と白衣
騒がしくなる空間に震えた
僕もいかなきゃ
なんて衝動が
僕の足をくい止めていた


白に染まった
ベットを見つめ
君の描いたあの絵をそっと置く
「君の窓から」
「見えるあの花」
「何よりも大きく咲いているよ。」


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

小さな花―イノチ―

いつ死ぬかわからない、重い病気にかかった二人の少年の温かいストーリーです。

閲覧数:70

投稿日:2013/03/08 11:13:17

文字数:620文字

カテゴリ:歌詞

クリップボードにコピーしました