緑の国が滅ぼされてから何ヶ月かが立った。
私は港町の教会で新たに暮らし始めた。
革命で王女が死んだと風の噂で聞いた。
彼女と出会ったのは教会の前。
礼拝に行く時に倒れている彼女を見つけた。
「大丈夫ですか」
「はい、おかげ様で。それで・・・」
「ああ、私はハクと言います」
「ハクさん、ありがとうございます。私は鏡音リンです」
歳のわりには言葉使いが不自然なほど丁寧だった。
いつの間にか私達はとても仲良くなった。
だけど私と彼女、何もかもが違った。
夜中に懺悔室から物音がした。
見に行くとそこにはリンさんが居た。
「リ・・・・」
声を思わず飲み込んだ。聞かなければ良かった懺悔だった。
嗚呼 なんという事でしょう。
彼女は正に
悪の娘。
懺悔を終えた彼女は何かボトルを持って外へ出た。
町外れの小さな港に向かって。
独りたたずむあの子、背後から近づく私。
懐から短剣取り出して王女の背中に向けて振り上げた--------・・・・。
「罪に気づくのはいつも全て終わった後」
カーン カーン カーン
三つの鐘が全てを終わらせた。
ミク、ごめんなさい。私結局貴女の敵は取れなかった。
あの子は昔の私と同じ。
大切な人を失った孤独な人。
独りで生き続ける事、それはとても寂しい。
でもね、何も出来なかったあの子は少し料理が上手くなったよ。
特にブリオッシュがとても美味しく出来るようになったんだよ。
きっともうあの子は独りじゃないよ。
あの子はわかってるんだよ。
だからあの子を咎めるのは終わりにしよう。
終わりにするよ・・・・?
そういえばあの時、あの浜辺で、一瞬見えた幻覚。
あの少年は一体、
誰だったのかしら?
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