A1
不確かなレールを走る
わたし用　貸切り電車
微睡みを誘うシートに
もたれ
次の駅に着いた

B1
今乗りこんだ私は
テスト前
教科書広げる

S1
流れる日々
違う行き先
乗りこむのは
わたし　またわたし
周り見えず
自分を分からず
ただ揺られてるよ

A2
鳴り響く発車のベルは
不器用なリコーダーの音
放課後の駆けこみ乗車
恋が頬に
咲いたあの日

B2
遅刻まぎわの
革靴
ぱたぱたと
目の前を過ぎた

S2
どの少女も
答えを探す
問いかけすら
わからないままに
微笑ましさ
口元に浮かぶ
今ならわかるよ

S3
忘れかけた思い出たちが
降りてゆくよ
ひとり　またひとり
揺られるのは
ひとり　ただひとり
今のわたしだけ

C
次の駅へ
まいります

【譜割り・（）は一音分】

A1
ふたしかな
レールをはしる
わたしよう
かしきりでんしゃ
まどろみを
さそうシートに
もたれ
つぎの
えきについた

B1
いまのりこんだ
わたしは
テスト
まえ
（きょ）うか（しょ）ひろげる

S1
ながれるひび
ちがういきさき
のりこむのは
わたし
またわたし
まわりみえず
じぶんをわからず
ただゆられて
るよ

A2
なりひびく
はっ（しゃ）のベルは
ぶきような
リコーダーのね
ほうかごの
かけこみ（じょ）う（しゃ）
こいが
ほほに
さいたあのひ

B2
ちこくまぎわの
かわぐつ
ぱたぱ
たと
めのまえをすぎた

S2
どの（しょ）う（じょ）も
こたえをさがす
といかけすら
わからないままに
ほほえましさ
くちもとにうかぶ
いまならわか
るよ

S3
わすれかけた
おもいでたちが
おりてゆくよ
ひとり
またひとり
ゆられるのは
ひとり
ただひとり
いまのわたし
だけ

C
つぎのえきへ
まいります