[A]
角灯の 海が鳴る
暫しの さきほこる刹那 見しもせず
からころと 下駄は鳴く
私の 暗礁をさして ひとりでに笑う
[B]
とうに 千切れた 鼻の緒が
此処で 待たれと 足を引く
「擦れる 指先 顧みず
急いて 仕損じて 何になる」
[S]
止まれ 止まれ 止まれないな このままじゃ
剥がれ落ちる すべてを 無きものに
行くは何処 遣る瀬ないな この愛は
溢れ返る 彩度は もう戻せない
[A]
邯鄲の 夢を見る
辛くも 一難逃れて 酔いもせず
さめざめと いつを泣く
卑しく 感傷を連れて ひとりを嘆く
[B]
過去に 契りし 花の名を
其処で 散らせと 弓を引く
「すがる 姿も 省みず
鋤いて 飾るは 誰が為」
[S]
終われ 終われ 終わらないと このままじゃ
帰り道を なくした 根無し草
恣意は弱る 限がないな 巳の足は
歩き疲れ 私情は もう挟めない
止まれ 止まれ 止まりたいな このままじゃ
零れ落ちる すべてが 無駄となる
色はいずれ 褪せる故に 好ましい
呆れ返る 再度は もう望まない
ひらがな
[A]
らんたんの うみがなる
しばしの さきほこるせつな みしもせず
からころと げたはなく
わたしの あんしょうをさして ひとりでにわらう
[B]
とうに ちぎれた はなのおが
ここで またれと あしをひく
「すれる ゆびさき かえりみず
せいて しそんじて なんになる」
[S]
とまれ とまれ とまれないな このままじゃ
はがれおちる すべてを なきものに
いくはいずこ やるせないな このあいは
あふれかえる さいどは もうもどせない
[A]
かんたんの ゆめをみる
からくも いちなんのがれて えいもせず
さめざめと いつをなく
いやしく かんしょうをつれて ひとりをなげく
[B]
かこに ちぎりし はなのなを
そこで ちらせと ゆみをひく
「すがる すがたも かえりみず
すいて かざるは だれがため」
[S]
おわれ おわれ おわらないと このままじゃ
かえりみちを なくした ねなしぐさ
しいはよわる きりがないな みのあしは
あるきつかれ しじょうは もうはさめない
とまれ とまれ とまりたいな このままじゃ
こぼれおちる すべてが むだとなる
いろはいずれ おせるゆえに このましい
あきれかえる さいどは もうのぞまない
止まれ 止まれ
http://piapro.jp/t/06fcより。
あの恋が夏の日の思い出に変わるまで。
角灯=らんたん、ジャックオランタンのランタン。
暗礁=あんしょう、思いがけない災難。
顧みず=かえりみず、振り返らず。
邯鄲の夢=かんたんのゆめ、人生は儚いものだという諺。
酔いもせず=えいもせず、もう欲に酔わない。
省みず=かえりみず、自分のしたことを反省せずに。
鋤いて=すいて、髪を櫛でとかす。
卑しく=いやしく、浅ましく。意地汚く。
根無し草=ねなしぐさ、しっかりした拠り所がない。
恣意=しい、自分勝手な考え。
限がない=きりがない、数えきれない。
巳=み、へび。
〈解説(1番)〉
夏祭り。去年は二人で来ていたのに、今年は私一人きり。何となく釣り上げたヨーヨーを二度三度打てば、ぽちゃん、と水の音が鳴った。目の前まで持ち上げたそれは、花火の光を暗く映してランタンのように揺れている。歓声が上がるそちらには、どうしても行く気になれなくて、花火に背を向けて歩き出す。草臥れて鼻緒の切れてしまった下駄では歩きづらく、からんころん、になり損ねた音が足元から不快に響く。こういうときは何でも気にかかるものだ。わかっているのに、その不協和音が私の思いがけないトラブルを、忘れたい思い出を、俗に言う失恋を指差して嘲笑う天敵のように思える。
勝手に笑い声を響かせるそれを紛らわせたくて、乱暴な歩みに変えるも、不意に切れた鼻緒が絡まってその足を止めようとする。まるで此処で感情の波が治まるのを待ちなさい、とでも言うように。俯いて、落ちた目線の先に、擦り切れた指先が映った。涙が滲む。それが嫌で私はまた足を駆けさせた。
止まれ止まれ、涙。止まれ、止まれ。止まらないから、この足も止められない。何故だろう、どうしてだろう。君への恋心を自覚して綺麗に着飾っていたのに、そのすべてが剥がれ落ちていく。いっそのこと、初めから無かったことにしたいくらいだ。邪魔な下駄を脱ぎ捨てて駆けていく。行き先なんてない。ああ、もう、本当にどうしようもないな。無駄だとわかっているのに思い通りにならないこの気持ちを持て余してしまう。漸く立ち止まった場所は、いつか二人で見たときに感動したあの夜景が広がる公園。何故だろう、二人のときにはあんなに色で溢れていたのに、今は何もかもモノクロに変わってしまった。
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同じくピノキオPの『 oz 』、『恋するミュータント』、そして童話『オズの魔法使い』との三つ巴ミックスです。
あろうことか前・後篇あわせて12ページもあるので、どうぞお時間のある時に読んで頂ければ幸いです。
素晴らしき作...オズと恋するミュータント(前篇)
時給310円
君の神様になりたい
「僕の命の歌で君が命を大事にすればいいのに」
「僕の家族の歌で君が愛を大事にすればいいのに」
そんなことを言って本心は欲しかったのは共感だけ。
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悲しいから歌った。
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諦めないで生きろよ。」
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お2人のコラボ作品「神曲」をモチーフに、勝手ながら小説書かせて頂きました。
ガチですすいません。ネタ生かせなくてすいません。
今回は3ページと、比較的コンパクトにまとめることに成功しました。
素晴らしき作品に、敬意を表して。
↓「前のバージョン」でページ送りです...【小説書いてみた】 神曲
時給310円
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