さよならを告げるくちびるが
優しく私のそれをなでた
はなれた街で前を向けるように
ふたりの熱をそっと冷ました

「はなれてても 愛している」
今も変わることはないのに
どうしても言えなかった

花咲く日には 消えてるぬくもり
溢れそうな何かとどめた
前を向かなくちゃ だけど私には
あなただけが好きな人


別れたと告げる兄の目は
冷たい朝の結露のよう
叶うことない恋は溶かすんだ
それが幸せだって思うのに

「僕にしなよ 愛している」
今なら奪えるはずなのに
どうしても言えなかった

雪解けのように 肩をにじませる
「好きだった」と嗚咽もらした
あなたの瞳は 兄だけうつして
僕はずっとアルニラム


旅立ちの朝に兄の背中押し
「後悔するぞ」と微笑んだ
出てくるな涙 あともう少し
この恋を隠させてよ

旅立ちの時に 彼はやってきて
「お元気で」と髪をなでた
出てくるな涙 さいごくらいは
カッコつけて笑わせて


花咲く前に 雪解けのあとに
伝えたい事があったんだ
愛していたよ どこか遠くで
幸せでいてください

次のひとと幸せに


はじまりの春が芽吹く