Regalo
結局プレゼントなんてもんは僕の自己満足でしかなくって、
それをもらって君が嬉しいかなんてホントの所じゃわかんない。
ねぇ、そうでしょ?だってさぁ――
でも渡したいって気持ちを抑えられるわけでもなくって、あぁうん違うのかな
僕の心をあげればいいのかな、でもそれって君の迷惑じゃないのかな。
そう、じゃあ。君の欲しいものは――
やっぱり君と僕は根底では違うから、心が読めるワケなくて、そうだから、
君の欲しいモノだったとしても、それはつまり”押し付けて”いるんだ、きっとそう。
だったら、僕の あげたいものは――
これかな、あれかな、それかな?全部そんなにあげたいワケじゃないな、あぁでも、
これが一番役に立ちそうだな。そうだコレにしよう、うんそうしよう。
もしもし、君かな、うん。そう、僕。用?あぁあのね、渡したいものがあるんだ。だから、
そう。時間ある?・・・・・・そうそしたら今から行くから、そこで、待ってて。すぐに行く。
君は少し肌寒そうに腕をこすっていて、あぁ待たせちゃったかな、服選んでたのが
悪かったのかな、なんて。この期に及んで考えている僕はなんて滑稽なんだろう。
そう、したいことなんてただひとつ。
これを君にあげたかったんだ。言って、さっき店員さんに包んでもらったそれを差し出すと、
きょとんとした君はただじっと、そうじっと、僕の手のひらに乗るそれを見つめてた。
あぁ忘れてた。言いたいこともあったんだ。そう、顔を上げてくれてありがとう。え?
そう、じゃあ、ね――
”誕生日おめでとう”
あぁ、そうか。君が欲しかったのはコレなんだね――と、目の前の髪の毛を、僕はなでた。
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