ちいさな唇こじ開けて
ありったけの息吹震わせた
知らない私がちらつく
あそこに見えた影は誰のもの?
しっとりとてのひらが色づき
視界を放棄してもっと中へ
なけなしの耳鳴りさえも凍れば
もう出口なんて探すこともない
触れるものなどないのに
宙を掴んでただ仰ぐ
※
無くしたのはあなたじゃない
夢に夢見て廻り廻る
薄っぺらいアリガトウを背中で
聞きながらうたう
肌色の冷たさを知った
赤いほの暗さを秘めて輝く
音速にも似た鋭さに
ただ貫かれる朝を待ち続ける
例えば従順の塊が
盲目となれば覚めなかったの?
無くしたのは私自身
迷宮の彼方に憧れて
もう進まないよ
私が私のままでいる為に
兎も時計もいらない
道標なら過去の幸福を
迷い込んだ訳じゃない
最初からゴールは見てた
※
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