翌日、マスターはいつもより早く起きていた。
「ほーら、海疾も星疾も早く起きる!」
しかたなく僕も星疾も起き出した。時計を見る。まだ6時前?!
マスターはいつも7時くらいに起きている。しかも寝起きは最悪。
僕と星疾で叩いたり、大声出したり、果ては目に直接LEDライト(かなり眩しい)を当てたりしてようやく起こしているのだけど。
なのに今日のマスターときたら寝起きとは思えないくらい元気だ。
「ふぁ・・・マスター今日は早いですね」
「いつもそれくらいなら苦労しなくて済むけどな・・・ふぁぁあ」
「余計なお世話よ」
マスターはぷぅと頬を膨らませた。
子供っぽいところが多いなぁ・・・とか思っていたら腕を引っ張られた。
「さぁ、冷凍庫を見に行くわよ」
僕だけじゃなく星疾も引っ張られていた。
「冷凍庫?」
「新しいアイスでも買ったのか?」
「寝ぼけないでよ。昨日植えたKAITOの種が生えてるか見るのよ」
・・・あぁ思い出した。昨晩、寝る直前にマスターがショコラクラシックのアイスに種を植えてたっけ。
あのアイスは僕たちのだって主張したら「明日バニラアイス買ってあげるから」と言われ速攻でOKしたんだったw
我ながら現金なものだなと思う。あのまま主張を続けていたら種KAITOを育てるなんていう未知の領域へ進む事など無かったはずなのに。
星疾は止めなかったかって?星疾も僕と同じ嗜好だから2人そろって首を縦に振っちゃったよ。
なんていうアイスべきバカイト・・・他の家のKAITOたちがアイスに釣られるの見て笑ってたのが恥ずかしいよ。

「さぁ、ついに対面よ。どんな子なのかなぁ?ワクワク」
マスターが目を輝かせながら冷凍庫に手を掛ける。
  ガラ
冷凍された食材の間からマスターはアイスのカップを取り出した。
3人でしげしげと覗き込む。
「あれ?生えてないなぁ・・・」
マスターは残念そうにつぶやいた。
「偽物をつかまされたんじゃないか?」
「そんなことないはずだけど・・・」
ガックリと肩を落とすマスター。やばい、落ち込みモード突入だ。
僕はとっさに励ましの言葉を並べた。
「マスター、気を落とさないでください。僕たちがいるじゃないd・・・」

  カタコト

「ん?」
「なんだ?」

  カタカタタコト

・・・アイスのカップが動いてる?!
「えええ、何?何が起きてるの?」

  カタゴトコトトガタ・・・・・ガバッ

ア、アイスから手が1本出てきた。
「きゃあああぁぁぁぁ」
マスターが僕にしがみついてきた。と言うか、
「うぐ、マフラー引っ張らないでください。ぐるじい・・・」
マスターは手を離さない。反対側をひいて緩める、これでよ・・・くない。緩めた分をさらに引っ張られる。
やめて、しがみつくならせめて腕にして・・・これ以上引っ張られたら意識が飛・・ぶ・・・
ぎゃあぎゃあと騒ぐ僕とマスターとは対照的に星疾は冷静だった。
カタコトと動くアイスを掴むと指で掘り返し始める。
すると、ちょこんと小さな頭が飛び出してきた。
「ぷは・・・きゅるちかっちゃれしゅ(苦しかったです)」
「きゃあ、かわいい!」
マスターはアイスのカップを星疾からひったくった。
おかげで僕はマフラー締め付け地獄から解放された。
「ゴホゴホ、ふぅ苦しかったのは僕のほうだよ・・・」
「大丈夫か?」
「うん、なんとか」
星疾が肩を貸してくれたおかげで倒れずに済んだ。酷いよマスター・・・
「あああ、ごめんね海疾。思わず・・・痛かったよね。ほんっとごめん」
心配そうな顔をして首筋をなでられる。指先が冷たくてすこし気持ちいい。
「くすぐったいです。もう大丈夫ですから」
僕がそういうとマスターはホッとして手を引っ込めた。
「それで、種をどのくらいの深さに埋めたんだ?」
「えっと、カップの底まで」
『深すぎだー!』
僕と星疾のつっこみがハモった。
「僕たちに見せてくれた時は浅く埋めてあったじゃないですか。いつ底まで埋めたんですか?」
「冷凍庫に入れる直前かな。浅いと鳥に突かれちゃうからググっと」
「冷凍庫に鳥はいねぇ!」
どこまでボケなんですか、マスター。的確につっこむ星疾もすごいけどw
「みぅ~」
すっかり蚊帳の外にされていた種KAITOが声を出した。
「ぼきゅのきょとしゅりゅうれしゅか。ひろいろれしゅ・・・(ぼくのことスルーですか。ひどいです・・・)」
「あ、ごめんね。今すぐ掘り出してあげるから」
いつの間にかマスターはスプーンをもっていた。ざくっとアイスに突き立てる。
すると、

「みゅぅぅ~らめ~~!!」
種KAITOの叫びが部屋中に響きわたった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

KAITOの種、観察記録テキスト版2

あれ?1話完結形式で進めるつもりだったのに、なぜか続き物・・・
それもこれもみんなマスターが悪いんだろうけどw種KAITOの出番を丸つぶししちゃってるし
にしても誰なんだ?このマスターは。モデルは自分のはずだったんだけど・・・
キャラが思いっきり暴走してるwww

種をくださった本家さま
http://piapro.jp/content/aa6z5yee9omge6m2

霜降り五葉さまのかわいいモカイトと氷カイト
http://piapro.jp/content/0mfsdg3gfb2xdrzi

閲覧数:186

投稿日:2009/03/20 00:16:57

文字数:1,918文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • エメル

    エメル

    その他

    霜降り五葉さま
    読んでくださってありがとうございます~
    自分を出すっていうかモデルなんですけどね。その方が感情移入しやすいかと思って。
    でも書くのに悩んでいたら思いっきり暴走、結局誰これ?な結果になっちゃいましたw
    案外自分の本質・・・だったら怖いw
    星疾を気に入ってくれてありがとうございます!
    冷静つっこみタイプなので影が薄くなってしまいそうだけど、極力前に出せるように書こうと思います。

    ちはれさま
    読んでくださってありがとうございます~
    マスター面白いですか、よかったです~
    私はシリアス書いててもギャグに走ってしまうたちなので始めからコメディ路線で行くことにしました。
    安定してシリアス書ける人のほうがすごいかも・・・
    ショコイトは高いアイスに植えたせいか、知能は割りと高い方です。その分成長は遅いんですけどねw
    なのに無理してしゃべるから舌っ足らずでめちゃくちゃな言葉になっちゃいましたw

    もあいさま
    はじめまして~読んでくださってありがとうございます~
    確かに固定視点ですと説明が少なくても分かりやすいかもしれないです。
    できるだけ三人称視点(神視点)は混ぜないように書こうと思ってますが、なにぶん素人書きなんで変になったらすみません。
    種KAITOは他の亜種と違って完全自由設定亜種だから博打要素は大きいですよね。
    ある程度のキャラは出来ているので後は上手く書けるか、気に入ってもらえるか等の不安はありますが、なんとかがんばってみようと思います。

    2009/03/21 10:42:20

  • ちはれ(花見酒P)

    ちはれ(花見酒P)

    ご意見・ご感想

    更新してるので来ましたよ~って何だこの面白いマスターはッ(褒め言葉)
    コメディ苦手なんで書ける人は羨ましいですよ。
    そしてスルーを知っているショコイト?がすごいなーと妙な感心をしたり。
    らめええええ、な続きが気になりますw

    2009/03/20 01:48:32

  • 霜降り五葉

    霜降り五葉

    ご意見・ご感想

    自分を出せるって凄いです。絶対自分無理ですww
    モデルにしても一瞬で別人に…;
    友人とかも出せないんですよねww
    てか星疾君が好みなんですが(ぇ
    初めて見た時から好きなタイプだなーとか思ってたんですが、やっぱりそうでした。
    こういうキャラ大好きです!(ダマレ

    とうとう生まれましたね。どんな子なのかな~?

    2009/03/20 00:29:51

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