――昔々 城下のその外れ
愛で育つ種がありました
けれどけれど涙が多すぎて
春も知らず狂い咲いたとさ――


誰?私を見るのは
咲き損ないだと
ただ 哀れむみたいに
ただ 声を潜めて

色 季節を違えて
開いた魔物と
嗚呼 巡る噂
嗚呼 風は突き刺す

青ざめた桜ひとひら
煽られ墜ちる
肩先に止まる度毎
強く払われるとしても

報われぬ桜ひらひら
語りかける術もなく
空映す鏡となりて
散るだけ またひとつ


何故 人は笑むのだろう
そぐわぬものを
そう 遠ざけるように
そう 切り捨ててまで

皆 前を向き歩く
取り残されれば
嗚呼 世の終わりと
嗚呼 光はないと

青ざめた桜ひとひら
焼ける空に憧れ
行き場のない言の葉が
時の中に消えていく

報われぬ桜ひとひら
縋るように注ぐ
肩先に止まる刹那に
優しさ求め震える


報われぬ私ひらひら
大地すら海にして
孤独の飛沫鎮める
あなたを待つ この場所で

青ざめた私 今なら
心の声届くかも
怯える一輪見つけて
その足止めたひと


零れる淋しさ拭おうと
不意に温かな手触れた時
初めての恥じらいが舞い上がる
恋を知った頬の花吹雪



【譜割り・()は一音分】

むかしむかし
(じょう)かの
そのはずれ
あいでそだつ
たねがありました
けれどけれど
なみだが
おおすぎて
はるもしらず
くるいざいたとさ――


だれ
わたしをみるのは
さきそこないだと
ただ
あわれむみたいに
ただ
こえをひそめて

いろ
きせつをたがえて
ひらいたまものと
ああ
めぐるうわさ
ああ
かぜはつきさす

あおざめたさくら
ひとひら
あおられおちる
かたさきに
とまるたびごと
つよく
はらわれるとしても

むくわれぬさくら
ひらひら
かたりかける
すべもなく
そらうつす
かがみとなりて
ちるだけ
またひとつ


なぜ
ひとはえむのだ(ろう)
そぐわぬものを
そう
とおざける(よう)に
そう
きりすててまで

みな
まえをむきあるく
とりのこされれば
ああ
よのおわりと
ああ
ひかりはないと

あおざめたさくら
ひとひら
やけるそらにあこがれ
ゆきばのないことのはが
ときのなかにきえていく

むくわれぬさくら
ひとひら
すがるようにそそぐ
かたさきにとまるせつなに
やさしさもとめ
ふるえる


むくわれぬわたし
ひらひら
だいちすらうみにして
こどくのしぶきしずめる
あなたをまつ このば(しょ)で

あおざめたわたし
いまなら
こころのこえとどくかも
おびえるいちりんみつけて
そのあしとめたひと


こぼれるさびしさ
ぬぐおうと
ふいにあたたかかなて
ふれたときに
はじめてはじらいが
まいあがる
こいをしった
ほほのはなふぶき

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

蒼桜

あおざくら。
愛を知らない桜視点の歌です。

閲覧数:309

投稿日:2014/03/14 15:15:41

文字数:1,144文字

カテゴリ:歌詞

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