ぼくには満ち溢れているものが君には足りなかった。
ぼくにはない、満ち溢れてはいけないものがきみには満ち溢れていた。
だから二人は心の引力で出会えたのかな?
だから二人は愛し合えたのかな?
ぼくらは話し合った。
ぼくらの今まで。
ぼくらは抱き合った。
ぼくらの人生。
君とぼくは正反対の家庭で育ったんだね。
人の親がいつも二人とは限らない。
だからお互いのことをより学び、二人で相談し、二人の傷を舐め合って、二人だけの秘密を作って、二人で笑った。
ぼくには満ち溢れているものが君には足りなかった。
ぼくにはない、満ち溢れてはいけないものがきみには満ち溢れていた。
だから二人は互いのこぼれたものをすくい合った。
だから二人は認め合えた。
きみの今までの愛。
それはぼくの半分。
きみの今までの寂しさ。
それはぼくの2倍。
だから二人で分かち合った。
ぼくの溢れんばかりの愛をきみに。
きみの溢れんばかりの寂しさをぼくに。
みんながみんな、平等とは限らない。
生きているなら必ずばらつく。
二人でお互いに見つめて、二人で笑って、愛を感じ、寂しさ忘れて、手をつないだ。
ぼくには満ち溢れているものが君には足りなかった。
ぼくにはない、満ち溢れてはいけないものがきみには満ち溢れていた。
だけどいつかは同じになるだろう。
二人の愛。
だけどいつかはなくなるだろう。
きみのその寂しさ。
きみが受け取った愛は貯めて、ぼくが受け取った寂しさは、そのままどこかへ流してしまう。
そんなことを続ければ、きみとぼくはきっと幸せでいられるはずだよね?
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