ぼくには満ち溢れているものが君には足りなかった。
ぼくにはない、満ち溢れてはいけないものがきみには満ち溢れていた。

だから二人は心の引力で出会えたのかな?
だから二人は愛し合えたのかな?


ぼくらは話し合った。
ぼくらの今まで。

ぼくらは抱き合った。
ぼくらの人生。


君とぼくは正反対の家庭で育ったんだね。
人の親がいつも二人とは限らない。
だからお互いのことをより学び、二人で相談し、二人の傷を舐め合って、二人だけの秘密を作って、二人で笑った。


ぼくには満ち溢れているものが君には足りなかった。
ぼくにはない、満ち溢れてはいけないものがきみには満ち溢れていた。
だから二人は互いのこぼれたものをすくい合った。
だから二人は認め合えた。


きみの今までの愛。

それはぼくの半分。

きみの今までの寂しさ。

それはぼくの2倍。

だから二人で分かち合った。
ぼくの溢れんばかりの愛をきみに。
きみの溢れんばかりの寂しさをぼくに。

みんながみんな、平等とは限らない。
生きているなら必ずばらつく。
二人でお互いに見つめて、二人で笑って、愛を感じ、寂しさ忘れて、手をつないだ。


ぼくには満ち溢れているものが君には足りなかった。
ぼくにはない、満ち溢れてはいけないものがきみには満ち溢れていた。

だけどいつかは同じになるだろう。
二人の愛。

だけどいつかはなくなるだろう。
きみのその寂しさ。

きみが受け取った愛は貯めて、ぼくが受け取った寂しさは、そのままどこかへ流してしまう。

そんなことを続ければ、きみとぼくはきっと幸せでいられるはずだよね?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

溢れて

閲覧数:30

投稿日:2010/09/14 16:44:04

文字数:687文字

カテゴリ:その他

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