マ、マスター。どうしましょう?
【はずれ調子☆こみゅにけーしょん 】
マスターがくれた初めての歌。
嬉しくて嬉しくて、デスクトップ中をかけまわって。
ようやく流れてきた音符を。
「しまった……うちのミクあほの子だった」
…………飲み込んじゃいました。
声を出しても、変な音ばかり。
マスターは呆れて、ため息なんかついて。
うぅ、なんとかしてくださいー!
その音も、どらそふぁそらどれみどー。
なんて調子っぱずれの音になっちゃう。
そんな私の気を知ってか知らずか。
ゆーざーずまにゅあるをぱらぱらと見て。
ドルアーガの塔を見にパソコンから離れてしまった。
ママママスター!?
パソコンはつけっぱなしだから、明るいけど。
でもでも、えことかそういうのにはよくなくって。
というか、私が大変なのに入浴シーン見て「ふむ」とか言わないで下さいー!
けほけほとせきをしてみても取れない。
おなかのあたりが重くてくるくる言ってる気がする。
マスターはCMの間にトイレに行っちゃうし。
ひどいよ、マスター。
…………悪いの、私だけど。
うぅ、もっと注意しておけば。
せっかくもらった歌なのに。
頑張ってはっせーれんしゅうして。
マスターが調べながら曲を作るのを一生懸命応援して。
それでそれで、ようやくもらった歌なのに。
マスター。私のこと嫌いになっちゃったかな。
私よりももっと優秀なめいこお姉ちゃんたちもいるし。
こんなどじっこで、歌も歌えないボーカロイドなんて。
『マスター……』
いらなく、なっちゃった?
『ペポン』
急に変な音がして、おおきなほうきが現れた。
うそうそやだやだっ!
なんで? 本当に私のこと捨てちゃうの?
ほうきは、容赦なく私に向かって突進してくる。
きちんとあたりを掃きながら。
『やだーっ! こないでー!』
四角い小さな部屋。
右上から左下。左下から左上。
どれだけ逃げても、ほうきはせまってくる。
『マスター! マスター! マスタぁー!』
ドルアーガが終わったらしく、編集作業をしてる。
そんなの後でいいから早く助けてよー!
『マスタぁー……』
動きすぎて容量不足。
へたりこんでも、ほうきはそのままやってくる。
もう逃げられない。
私、このまま終わっちゃう。
じんわり目が熱くなる。
『やだよー! 私……私、もっとマスターのそばにいたいもん!
歌だって練習してもっともっとうまくなるんだもん!
マスターの歌、歌うの私だけだもん!
それでそれでいつかマスターと結婚するんだもん……!』
ほうきがあと少しのところにせまってきた。
力をお腹にぐっとこめて、叫ぶ。
『マスタぁぁぁああああ!』
どむ。
ほうきの柄で思い切り押されて前につんのめる。
目を回しながら、せきをすると大きな音符が一つ出てきた。
『え……?』
『システムの正常化が完了しました』
「ん? 終わったか」
編集作業、途中なのに。
(というか、入浴シーンで一時停止はやめようよマスター)
マスターがこっちに来てくれた。
「ミク、ちょっと喋ってみて」
『えとっえとっ! こ、こうですか、マスター』
「よかった、直ってる」
そういうと、くしゃくしゃと頭を撫でてくれた。
「これからもずっと曲作るから。
もう慌てるなよ」
マスターのその言葉。
嬉しくて嬉しくて、さっきとは違う涙が出る。
『はい! 大好きです、マスター!』
「で。数分後になんでこうなるかな……」
「ご、ごめんなさいマスター!」
ど、どどれどふぁみみれどー。
コメント2
関連動画0
ご意見・ご感想
ひなたさくら
ご意見・ご感想
>熊野さん
箒に追いかけられてあたふたするミクが書きたくて
やってしまいました(笑)
こちらこそ、読んでいただきありがとうございました(>_<*)
コメントありがとうございました!
2008/06/13 02:32:51
熊野
ご意見・ご感想
ミクがかわいいです!
システムメンテナンスツールが箒ですか(笑
楽しくほのぼのとしたお話でした。
読ませてもらえて有難う御座います。
2008/06/13 02:13:05