一生忘れられない声の主。

それは リンではない。

ましては ハトに似ている先生でもない




そう



レン


『ミク、外に出てきてくれる?』

ガチャ

まだ少し肌寒いというのにレンは額にうっすら汗をかいていた。

「さっき、リンから聞いて・・・。私立に行くって本当?」

「・・・・・・そう・・・だよ」

「・・・そっか。じゃあ 言っておこうかな」


―――ざぁっ・・

春風が吹いた

桜の花びらは 楽しそうに空を舞っている。

木の枝についていたもう一つの花びらは悲しそうに枝から離れていく。


「俺さ、ミクのことが――」

「待って」

「えっ?」

「私、レンに言っておきたいことがあるの。先に言わせて」

「・・・いいけど」


あんなに強かった風が今は やんでいる。

空を舞っていた花びらは 虚しく地へと落ちていく

枝からはなれていった花びらは当然のように地に着地する



「私、ずっとレンのことが好きでした」





あぁ、言ってしまった。レンには彼女がいるのに。馬鹿だな 私。







するとレンが少し微笑んだ。

「先に・・・・・・言われちゃったな」



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『あっ、もしもし?ミクー?』

「どうしたの?リン」

『どーしたのって、今日ミクは入学式でしょ? 学校、どうだった??』

「う――ん・・・まぁ、なんとかやっていけそうかな。あのね、中庭の花壇が
 すっごくきれいなんだー」

『へー、そうなんだ!あたしの学校なんか花壇にはヘチマ植えられてたよ』

「ふふっ。ヘチマって  あっ」

『どした?』

「ごめん。リン、もう時間だ」

『あっ、そっか本当だ。じゃ、頑張ってきなさいよ!!レンとの初デート♪』

「もー!冷やかさないでよっ!」

『あはは、ごめんごめん。じゃーね』



「ごめん、待った?」

「あっ!ミク、ううんまだ時間の5分前だし」

「レン、ちょっと見ない間に背、高くなった?」

「そうかな。ミクこそ――・・・」

「私はヒールのある靴はいてるからでしょ」

「あ、そっか」

「もう、あいかわらずだね」



あれから聞いてみると、デパートで見た女の子は

レンの小学生からの幼馴染。

レンが自分のお姉さんにあげるプレゼントを相談していたそう。

つまり、

全部私の早とちりだったわけで、誠にはずかしい。




――私の涙はもうでない

だって、中学の卒業式の日に

うれしすぎて

涙を流しきったから

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

私の涙はもう出ない 後編

やっと完結です。
まったく、最後まで会話文の多い小説です
これはマンガの影響・・・?

閲覧数:33

投稿日:2011/12/23 12:48:35

文字数:1,083文字

カテゴリ:小説

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