#5「失態とジレンマ」



私とグミの楽しい空間だったはずの放課後の部室

そこにアイツがやってきたせいで、私のテンションが急降下した


「こんにちは」


そういって入ってきたアイツ


「え、ええ?レ、レ、レン君!」


グミは顔を真っ赤にして、私の方をみた

確実に「今日来てくれるなんて一言もきいてなかったよぉぉ」と言いたそうだ


「グミさん、昨日はごめんなさい。他の部活に助っ人呼ばれちゃって……携帯も家に忘れてきて連絡できなかったんだ」

「い、いいい、いえ、そ、その……えっと、私の方こそ……ごめんね、えっと……」


赤面しながらも、一生懸命話そうとしているグミ

私はその姿をみていると、胸がきゅっと締め付けられる


「で……言いにくいんだけど、今日も他の部活に呼ばれてて……試着は、また今度でいいかな?」

「は、はい!いつでも!」


グミは受け答えで精いっぱいって感じだ


「昨日、今日とのお詫びに、明日の休み、三人でどこか遊びに行かない?」


突然、アイツがさらりと言ったその言葉に


「え?……えええええ!!」

「は?……はああああ??」


と驚くグミと私


「ア、アンタ、何考えてるわけ?い、いきなり、そんなの駄目に決まってるでしょ!」


少なからず私も動揺している

17年一緒に生きてきて、そんなことをいう奴なんて、一度も、夢にも思わなかった


「そっか、リンは駄目か。グミさんはどうする?」


ニコリと笑ってグミを見る


「え……えと……その……」


グミがもじもじしている

そこで、私はしまった!と思う

もしここで、グミが行くと言ったら……二人っきりにしてしまうことになる

い、いや……でも、グミには、そんなことは言えないはず……恥ずかしがり屋だもの


「い……い……いきたい……です」


グミは両手をぐっと握って、恥ずかしそうに声を絞り出した

私はそれに驚きを隠せなかった


「うん、行こう。グミさん、じゃ、明日の朝10時、噴水の公園のところで……」


そして、同時に私の中で、どうにかしなきゃという想いがこみあげて来る


「や、やっぱり、私も……」


私はそこまで言って言葉をのんだ

グミが私を見ている……

私は、建前上、グミを応援することになっている……だったら、ここで邪魔するわけには


「ん?リンもいくのかい?」


アイツが私に向かってそういうと、不安そうな顔をするグミ

そんな顔をされたら……


「い……行くわけないでしょ!ばっかじゃないの!」


そう……言わざるを得なかった









アイツが部室を去った後、私はグミと話した


「グミ……ほんとに一人で大丈夫なの?なんだったら、私がついていっても……」


むしろ、ついていかないと私が気になって仕方がない


「……うん、ありがとう。けど……いつまでもリンちゃんに甘えてばかりじゃいられないから……今回は一人で頑張ってみる」


グミは満面の笑顔でそういった

その楽しそうな笑顔をみたら……それ以上、何も言えなかった


「……そか。うん、頑張ってね」


私はうまく笑えていただろうか……

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私とアイツとあの子 #5

リンちゃんは大きなミスをした

グミちゃんは大きな決断をした

レンくんは……よくわからない

閲覧数:185

投稿日:2014/01/07 19:54:23

文字数:1,336文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

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  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    切ない……!!
    嗚呼、皆頑張れ!!
    でも皆うまくはいかないのか……??
    おおおぬおおおお!!

    2014/01/07 20:49:16

    • しるる

      しるる

      全部は上手くいかないよね、やっぱりw

      それにしても、お二人とも、毎回反応が早くてw
      がんばろって気になりますねーww

      2014/01/07 21:21:06

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