貴方のことが、好きでした。
世界がどれだけ残酷でも、どれだけ私がこの世を生きていくのに不向きな性格でも、ただ一人。あなたがいれば、もうそれだけで良かったんです。
貴方の明るく澄んだ声を聞くと、一日良いことが起こるような気がしました。
貴方が私に向かい笑ってくれるだけで、涙が出るほど幸せで満たされました。
貴方が私の髪を褒めてくれたから、私は村から逃げたあとも髪を隠さずに過ごせました。
寒い日に手を握ってくれた時の暖かさだけで、きっと世界の誰よりも幸せな人間になれました。
ミカエラ。私の誰よりも大切で、誰よりも愛おしい人。卑屈な私ですらも受け止めてくれた、皆の歌姫。
本当はあなたの代わりに死んでしまいたかった。けれども、優しく残酷な貴方はそれを許してはくれないのね。
ねえミカエラ、悪ノ娘をどう思っているの? あの子は今ね、私と寝食を共にしているの。
あの夜あの海岸で私は彼女を殺そうとした。それでも、殺せなかったの。
ごめんなさいミカエラ。あなたの敵は、私には討てない。もう大人になった彼女は、それでも、きっと永遠に独りぼっちで暗闇の中泣いている少女のままなの。
詳しいことはまだ聞いてないわ。だから、これから少しづつでも分かりあいたい。貴方が私に向かい寄り添い続けてくれたように、今度は私の番。
大地神エルド様。その後継者、ミカエラ。願わくば、この世界が少しでも平和のままいられますように。
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