「KAITO兄さん、これくらいの泡立ちでいいの?」
「リン、バニラエッセンスってどこにあるかな?」
「ミク、オーブンってどう使うの?」
「レン、このチョコ食べちゃっていいかな?」
「「「それはダメ!!」」」
どうも楽しく騒がしい声が響いている。
ここはPCの中が居住空間となって早半年ばかりたっていた。しかし共に住んでいるMEIKO、KAITO、ミク、リン、レン、ルカの中でそこを使うのはMEIKOとルカばかりとなっていた。彼女たちは日々そこで何やらいろんなものを作っている。主に毒見をするのはKAITOやレンだ。うまく行けば、住人みんなでプチパーティーということもある。
そんな他の住人も中に入りはするのだが、ほとんどは冷蔵庫の中身を覗くくらいの事しかしない。つまり、食べること専門なのだ。
その専門要因が珍しく台所に集まって何やら試行錯誤を繰り返している。
作ると食べるを両立できるルカはくじ引きで当たりをひいたのでMEIKOをどこか遠くに連れ出す役をかってでてしまった。他の住人たちがその事実に気が付いたときには、すでにルカとMEIKOはどこかへ行ってしまった後だった。
MEIKOはというとそんな彼らの様子に少し怪しんでいたものの、たまにはそんな休日も悪くないか…と楽しげにしていた。
台所組は今、MEIKOのためにケーキを作っていた。彼女の誕生日が近いというのが主な理由である。主、というのはたまにMEIKOとルカで飲みに行ってしまう時は、みんなで寂しく店屋物、というのがお決まりになってきてしまっているからだ。
そんな事態を避けるため、自分たちでも何か作れるようにしておきたい、というのも少しの理由にあった。なので、ルカがいないことはどっちもどっちだったりする。
KAITOとミクはスポンジ作り。リンとレンはデコレーション係。とはいえ、みんながみんなわからないのでとてつもなくちんぷんかんぷんな状態になってしまっている。
「…KAITO兄さん、一つ訊いていいかな?」
ミクが真剣そうな顔でKAITOに話しかける。KAITOはというと生地を必死にかき混ぜている。ここでしっかり決めておかないと生地がふんわり仕上がらなくなってしまう。
ミクの話を訊いていなさそうなKAITOを見ながらミクは内心ひたすら不安になっていた。彼女が今手にしているのは塩で、砂糖は戸棚の奥に鎮座している。
もしこれでKAITOのかき混ぜているスポンジに砂糖でなく塩が入っていたなんてありがち且つ不味い失敗はなんとしてもさせてはいけないと感じた。
「よし、次は薄力粉を入れてふんわり混ぜる!」
「KAITO兄さん?」
「あ、ごめんミク。呼んだ?」
「さっきから何度も呼んでるよ。」
少しむくれているミクを横目にKAITOは呼び止められた意味を少し理解して…
「アレ? もう交代?」
いなかった。ボールを笑顔でミクに渡す。
渡されたミクはというと、そのことで自分の言うべきことを忘れてしまったらしく、
「え?! もう? …薄力粉から私だっけ?」
などと呟きながら生地を受け取ってしまった。生地に入った塩のことを思い出すのは行ったいつになるのだろうか?
「おっし、生クリーム完成!」
「すっごい! よくやったレン!」
「お前も仕事しろよな…。」
少し視線を落としたレンの目線の先にあったのは散らかされた銀紙だった。アレは確かいたチョコを包んでいたものだと思い出した頃には、リンの指が少し茶色いことに気付いてしまった。
「リン、重要なことを言うぞ。」
「うん?」
「そのチョコ、まだ使う…。」
「大丈夫! こんな時のために私秘蔵の…」
言いつつ、リンは戸棚をあさる。しかし、彼女の手は空を切るばかりだ。
レンは残念そうにリンに声を掛ける。
「この前悪戯してMEIKO姉さんにおやつ抜きにされた時、お前が持ってきたのって…。」
「あ、え、あああああああああ!」
リンの悲痛そうな叫び声が響く。レンは困り顔でそんな彼女を眺めている。「仕方ない、別のもので代用するか…。」
「チョコレートじゃない茶色くて甘いもの…。」
「茶色かぁ…。ソースくらいしか思いつか」
レンは自分の発言に心から後悔した。リンには、こういった冗談は通用しないのだ。
「よしっ、それで決まりね。後は私が作るから!」
彼の意識が遠のいていっている間にスポンジもチョコガナッシュも出来上がっていた。
「…スポンジあんま膨らまなかったね。」
「私、何か忘れてる気がする。」
「じゃあ飾り付けるね!」
「リン、待…!」
「大丈夫、レンはもう休んでて。」
「飾りつけは僕らも付き合うよ、ね、ミク。」
「うん、リンだけじゃセンスがアレだもんね。」
「アレって何よぅ。」
そうして、(見た目だけはまともな)ケーキは出来上がった。机の上に取り皿とスプーンを人数分置く。
それから、部屋もキラキラと飾り付けをする。横断幕にはもちろん“MEIKO姉さん Happy Birsday!”の文字。
その時間を計算してか、ルカとMEIKOが帰ってきた。
MEIKOが扉を開いた瞬間、クラッカーの音が鳴る。驚いているMEIKOの元へ台所組みが駆けて行って口々に「誕生日おめでとう」と伝える。
最初は事情が飲み込めなかったMEIKOだが、そんな姿を見ていて自分が祝われているのだということに気付いた。
「ありがとう、みんな。」
屈託ない笑顔を全員に向け、席に着く。
「めーちゃんのために僕らみんなで作ったんだよ。」
「そうなんだ、なかなかおいしそうじゃない。」
ルカもここでそっと胸をなでおろしているのはここだけの秘密である。
「じゃあ、主役も来たしパ-ティー始めようよ!」
楽しげにミクが告げる。リンとレンもそれに賛同する。
そして、MEIKOの誕生日パーティーは始まったのだった。
(勝手に)MEIKOさんお誕生日パーティー
始めまして、初投稿とさせていただきます《歪兎》と書いて《わいと》と申します。最初からはっちゃけたものですが楽しんでいただければ幸いです。
MEIKOはほとんど出て来なくて申し訳ないのですが、僕はMEIKOが大好きです! あと、死亡フラグなような気がしなくないのですが…。この続きは皆様の脳内補完でお願いしますm(__)m
では、ここまでお付き合いありがとうございました。
遅くなってしまいましたが、MEIKOさんお誕生日おめでとうございます!
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