「ラルって、結構人間っぽいっよね」
あるひ、ララに突然言われた言葉。
「?どうしたの?。いきなり」
そう聞くと、ララはこう答えた。
「だってさ、ラルも、MVっていうVOCALOIDの一種だよね?」
「・・・・う~ん、確かに、一応はボカロだけど・・・」
「でもさ、ラルは、なんか、私達より、もっと人間的な考えが出来てるの。というか、もう、とにかく私達亜種や普通のVOCALOIDより人間に近いって事なの!」
一生懸命に説明するララの考えは私にも伝わった。
「そりゃあ、まあ、私達は【人間のマスター】をモチーフに作られた亜種だし」
「ふ~ん、ねえ、ラルってさ、自分が出来るよりも前の、博士の事知りたい?」
「ララ、えっと、まあ、知りたいね」
「何かね、嬰兎さんが、研究所に来てって、博士の事を、もっと教えてあげるからって」
「・・・そうなの・・・」
「じゃ、行くよ!ラル!」
ララは、そういうと私の手を握って走り出した。
「え、今行くの!?」
「そうに決まってるじゃん!」


「あ、こんにちわ、嬰兎さん」
「あ、ラルちゃんにララちゃんじゃないか。こんにちわ」
この人は歪野嬰兎(わいのえいと)さん。
今は亡きロンド博士の跡継ぎで、この研究所をやっている。
「さて、ちょっと、ゴメンな、今は、僕、手が離せなくてね、そういう事で、列田君に案内させてもらうよ」
「えっ!俺っすか!?」
嬰兎さんが指定したのは、明田列田(あけだれった)君。
この研究所で働いてる亜種マスター。
「分かりました。では、ラルさん、ララさん。此方です」
「はい」

「では、俺は此処までしか来てはいけないようですので、御二人で資料を探してください」

其処は、ロンド博士の書斎だった。
「ねえ、ラル。此処に博士の日記があるよ」
ララが見つけたのは、一つの日記だった。
表紙には、【大切な家族との時間:真空理呂音:ロンド】
一ページ目をめくる

1+++年4月7日
大切な妹弟達が生まれた。
この日をきに、日記をつけようと思う。
生まれた妹弟達の名前は、
真空理シン・レイナ・トウヤ
僕は、五つ下の妹、ミリと一緒に、大切な新しい家族を見た。
僕は、とても嬉しかった。
七つ下の妹弟達は、とても可愛くて、どういう風に成長するかが楽しみだった。

1+++年4月8日
僕は、父が多忙。
母が出産後で家には居ない。
だから、小さい妹のミリを守るのは僕の役目。
そして、僕が守ったこの家には、新しい家族とともに母が帰ってくるんだ。
そう、僕は心待ちにしている。
(ここから母が家に帰ってくるまでミリと遊んだ事や母や新しい家族を待つ描写が描かれている)

1+++年*月*日(文字がかすれていて読めない)
今日、新しい家族とともに母が帰ってきた。
今日も父は多忙で家に居ない。
僕に守るべき対象が増えたのだ。
僕は空手を習い始めた。

1+++年7月1日(日付を最初から読んでいくとこの日は恐らく何かしらの都合で日が飛んだと思われる)
今日は僕の誕生日。
ミリは僕に自分で描いた絵をプレゼントしてくれた。
まだ幼い妹弟達からのプレゼントは、ただ、此処に居てくれる事がプレゼントだと、僕は思った。

1+++年7月2日
悲しいニュースがあった。
同級生の男の子が事故で亡くなったと言う知らせがあった。
まだ幼い妹弟達には分からない。死という残酷な人間の最後の結末。
でも、最後まで精一杯生きれれば、残酷ではなく、頑張ったから、休めるという意味でもあるのだろう。
彼は、とても頑張っていた。
苦しい家庭で、頑張っていた。
きっと、彼は、頑張りすぎたのだろう。
安らかに眠って欲しい。
(ここからは命の事についてしか殆どかかれて居ない)

2+++年4月1日
シン達は、事故に遭ってしまった。
どうか、僕の家族を救ってください。

2+++年4月2日
結局、シン達の心臓は、止まってしまった。
そして、僕と父親は、恐ろしい行為に走ってしまった。
一度死んだ人間を、一部機械にして生き返らせる。
それは、父親の研究結果だった。
僕は、シン達を救う為なら、と。
生き返らせる道を選んでしまった。

2+++年4月7日
今日は、シン達の二度目の生誕の日。
シン達は、今日。
VOCALOIDとして生き返ったのだった。
でも、目覚めたのはシンとミリだけ。
しかも、僕達と過ごした。
人間の時の記憶を失くしていた。
僕は、シン達をMV。
マスターボーカロイドとして育てる事にした。

(此処以降は何も書いてない)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

MVシリーズの秘密【上】

ラルとララの見つけたロンドの日記。
其処に書いてあった【シン・レイナ・トウヤ・ミリ】という名前。
そして、書いてあった内容。
ラルは、改めて自分の生まれを知る。

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投稿日:2011/08/11 09:39:54

文字数:1,876文字

カテゴリ:小説

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