「よっしゃぁ! 到着ぅ!」
 ピョンッと車から文字通り飛び降り、グンッと背伸びをしながらミクはそう叫んだ。その後からは疲れた顔をしたレン、リン、ネルが各々の荷物を持ちながら車から降りてきた。因みに全員、制服のままである。
「・・・なんでミク姉・・・あんなに元気なの・・・」
「しかも終業式終わったの数時間前だし・・・」
「アイツの思考と体力は私でも計り知れないからな・・・」
「いや、計り知れたらネル凄いよそれある意味」
「・・・だな・・・」
 ハァ、と溜息をついて、ネルはリンの言葉に応えた。流石にこの暑さからだろう、携帯を弄る様子は見られない。
 そんな風に会話を繰り広げている間にもミクはズンズンと進んでいき、前の方から
「リーンちゃーん、レーンくーん、ネールちゃぁーん! はぁーやぁーくぅー! 遅い遅いー!」
「お前が元気すぎるだけだ、馬鹿が!」
 そう言ったのを聞いて若干切れ気味にネルがそう叫ぶとピタリとミクの声は止んだ。レンとリンは内心で
(ネル、すげぇ・・・。あのミク姉を黙らせた・・・)
 と、ある意味尊敬の念でネルを見ていた。
 ふと、リンが耳を澄ますと耳に心地良い漣の音が入って来た。
「海・・・。そうか、此処海が近いんだ・・・」
「成程、だから水着持って来い、てミク姉言ったんだな・・・」
「ふっ。アイツにしては良い場所選んだな・・・」
 額に溜まった汗を拭うとネルはそう言って先に進む様に二人を促した。

「はぁーい! この旅行の間泊まるのは此処でーす!」
 そう言ってミクが指差した先にあったのは・・・
「うわぁ・・・」
「でけぇ・・・」
「高そうだな」
 上から順にリン、レン、ネルの順である。ミクが指差した先にあった宿泊先。それは見るからに高級そうな、それでいて歴史を感じさせる様な、そんな和風のホテルだった。
「ふっふーん。良い所でしょ? 探すの苦労したんだよー? 皆が喜んでくれそうな場所探すのー。でさ、丁度此処見つけたんだ! 創業は約百五十年!老舗だね。まぁ、ちょっと予定よりも高くなっちゃったけど・・・皆が喜んでくれるならこの位はね!」
「・・・その優しさを部活でも活かせよ・・・」
 ハァ、とネルが嘆きの溜息を出したのは言うまでもない。
「あ、場所は四人部屋で、まぁ、大丈夫でしょ! レン君だし! んで、階は三階。番号は・・・三八〇号室だって。はい、鍵。ネルちゃん任せた」
 ざっと途中に突っ込み所のある発言をしつつも部屋の説明をし、そして何時の間に取ってきたのだろうか、部屋の鍵をネルに渡した。
「・・・そうだな、お前に任せてたら心配でおちおち部屋で休んでもいられないもんな」
「ネルちゃん酷い!」
 ミクとネルの口喧嘩(しかしネルが優位でミクを丸め込め掛けてる)をBGMに四人は部屋へと向かった。
「ね、レンはこの後如何する?」
「んあ? ・・・ん~・・・まだ来たばっかだし学校から直だったから少し休みたいな。リンは?」
「ん? あたしもそんなとこ。・・・学校終わったと思ったら何時の間にかミク姉が皆の荷物抱えて校門にいるんだもんね・・・。驚いちゃったよ・・・」
「俺の荷物とかどうやったんだ・・・ミク姉は・・・」
「突っ込んじゃいけない。突っ込んだら負け突っ込んだら負け」
「・・・まぁ、それは放って置くことにする。んで、『ハイ、皆集まったね! 良し、出発!』とか言って行き成り見知らぬ車に乗せられて此処まで来たんだもんな・・・」
「ミク姉・・・どんなポテンシャル持ってんの・・・?」
「それこそ突っ込んじゃいけないだろ」
「だね・・・」
「着いたよーっ!」
 ミクの声がして視線を其方に移すとミクが入り口の襖を開けていた。其処から中に入り、窓から見える景色を見て、二人は息を飲んだ。

 ザザ・・・  ザザ・・・
波の音が心地良く耳に入ってきて、海が遠くも無く近くも無い距離に見えた。水平線は何処までも、何処までも長く続いている様な気がした。

 暫く、四人は何も言わずこの景色を眺めていた。この後起こる出来事など、知る由も無く。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

夏休みの出来事

夏休み編です。此処から先を書くのをどれだけ待った事か!(知らねーよ
これから起こる事を早く書きたくて仕方が無いけどそんなに沢山載せられないのでちょっとずつ載せていこうと思います。
そして今日は私の誕生日! ・・・もう直ぐ終わっちゃいますけどね・・・。

それでは、読んで頂き有難う御座いました!

閲覧数:299

投稿日:2010/07/21 22:41:49

文字数:1,691文字

カテゴリ:小説

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  • ひなずきん〈雛姫〉

    ひなずきん〈雛姫〉

    ご意見・ご感想

    お返事ありがとうございました★

    lunarさんの作品読んでてすごく楽しいので、
    これからも愛読させて頂きます!!

    2010/07/21 23:36:26

    • lunar

      lunar

      いえいえ、此方こそ、メッセ下さり有難う御座います!

      そうですか、そう言って頂けると凄く嬉しいです^^
      また何時でもいらして下さいね♪ メッセも下さるともれなくlunarが喜びます(←

      それでは♪

      2010/07/21 23:53:32

  • ひなずきん〈雛姫〉

    ひなずきん〈雛姫〉

    ご意見・ご感想

    いつも読んでます!!



    あと、お誕生日おめでとうございます

    2010/07/21 22:48:32

    • lunar

      lunar

      こんばんは。始めまして。毎度毎度こんな馬鹿げた、ふざけてる、下らない小説を読んで頂き有難う御座います!


      あ、有難う御座います! 嬉しいです! あわわ・・・! まさか祝って下さる方がいらっしゃるとは・・・! 本当に有難う御座います!

      またいらして下さいね♪ お待ちしております

      2010/07/21 22:59:34

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