存在否定の雨 視界不良で足が止まった
未来ばかり見てた空想地図は白紙で
突然自分が分からなくなりました
誰しも一度はそういう時ってあるでしょう
まあ通過儀礼みたいなもんさと大人びてみる
つまずいて転んだ お構いなしに廻る月と日時計
破り捨てたカレンダーは既に山になった
“無駄な時間だね”とどこかで誰か嗤う
例えば今僕がテレキャスターを買ったことも
歴史家から見れば鼻息で吹き飛ぶようなこと
血の熱さ以外の何かで測らる時代
言い捨てて今日も石ころを演じる
それでもまた朝には目覚め夜が来れば眠り
時代に爪を立てて抗うのさ
叫ぶ声だけ残ってる
貴石にもなれぬ薄片(フラグメント)
すべての人を無二の宝玉とするならば
今の自分は途方もない混沌(カオス)の無色です
百年後(あと)の夢を描き
二千年前の本を紐解いた
自分が何処から来て何処へ行くのか
分かれば少しだけ不安じゃなくなるだろう?
寄る辺探し 消えた人たちの足跡たどっても
忘却の雪がすべて覆い隠していくんだ
残るのはわずかなモニュメントだけ
膨大な時間という生命(いのち)が勝てないものに
生命を持つ僕等はどうやって立ち向かえばいい?
“大丈夫” 囁いたのは屈託のない笑顔
失くしたと思うものは見えなくなっただけ
“物語は全部君の中にある”
引き継いだものは宝だと証明するために
生きて笑うんだよ、歌うんだよって君は言った
そうか、
今ようやく気づいた
ここで生き続ける僕の全てが僕しか知らない記録
血とか空想とか気に留めたニュースとか
見てきたものすべてがこの心臓に息づく
連綿と紡がれた歴史の濃縮
僕等はその一つに住むんだ
取るに足らないような名無しの僕等一人一人が
時の結晶というかけがえのない物語なんだ
血の熱に映える光
重ねた月日は虹色(プレイ・オブ・カラー)
誰かに鑑定してもらう“存在意義”など
求める必要もなかったみたいだ
“無駄な時間”を刻んでやろう
夢見て後悔して笑ってやれ
雨に濡れ擦りむいた傷の痛みでさえも
“僕”の輝きを彩る瑕疵(クラック)になる
そうさ無駄な物語はない たとえ残らなくても
当たり前に生まれて、生きて、そして死んでいく
それだけで十分人生は奇跡だろう?
そう思うと無性に伝えたくなりました
無視してもいいけど聞いてくれたらありがたい
歌うよ、過去、未来 その一瞬の狭間に
僕に貯められた物語を引き継ぐため
するとまだ磨かれぬ下手くそなテレキャスターに
やがて君と誰かの声が乗った
呼応し合う無題の律詩(リリクス)
上がる声は不協和のカコフォニー
それでいい、生で生きてみたら歴史なんて
学者が推敲したように綺麗じゃない “じゃあ、一緒に歌おう”
新たに紡ぐ星霜の歌
さあ世の存在否定を掻き消せ
事象の混沌(カオス)だった時のアモルファスが
確かな形あるものへと結われてゆく
百年後(あと)の夢を見よう
二千前の話をしよう
そうして紡がれた物語が
“僕等”という“今”を作っている
かわりのない確かな“今”を
過去未来時制ワンダー・クリスタル
――――「命がかけがえないもの」であることの意味。
それは他の誰もが決して同じものを体験できない時をくぐってきたことにある。
生きてりゃみんな人間合格!って詩です。
そろそろ昔を懐かしむ歳になって、つくづく私というものは重ねてきたものの集合体だなあと思うのです。この身体は先祖代々受け継がれてきた血脈のたまものであるし、そこに「自我」と「個性」ができたのは何よりも経験してきたもののおかげです。出会った人とか目指そうと思った夢とか、何一つ欠けていても今の自分はなかったであろうし、また一つでも違っていれば、もっといい自分になれたかもしれないのですが(笑)
「命が大切だ」っていうけど肝心のその理由まで語ってくれる人は少ない。自分あるいは他者の重ねた時、経験、思想、その他すべてを唯一無二として受け止めることは、最高の自己肯定であり、ひいては人間肯定であると思うのです。
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