:深海少女 モノローグ 2番サビ~:

沈む。
沈む沈む沈む。
もう沈みたくないと思うのに、体が浮かばない。
心も、浮かばない。
光り輝く彼に、すべてを託したい。
そう思うのに、沈みこんだ心はそれを許さなかった。
誰の声も、音も受け付けない深海に、現れたのは彼だけなのに。


ずっと動かさなかった、自分の手のひらを見つめる。
――汚い。
沈んだまま、何もしていなかった私は、汚かった。
ずっと動かさなかった、自分の頬の筋肉を動かそうと試みる。
――動かない。
沈んだまま、世界と壁を隔てていた私は、もう笑えなかった。
そう、今までも、誰かが私の元に尋ねに来た。
きっと、これからも来るのだろう。
――嫌だ。
私は残酷な世界から逃げるために沈んだのに。
どうして会いに来るの!!
誰にも合わせる顔なんて無い。
汚いこの顔を、見せる人もいない。
――だからもう、放っていてほしいのに!!


喉が詰まった。
そう。
あの時も、あの時も、そうだった。
開きかけていた心がまた、閉ざす。
そう。
そうして君はまた、また――私を置いて、突然消えるの!?


焦った。
違う、どうでもいいと思った。
違う、もう諦めようと思った。
違う、私は焦った。
違う、……。
もう、誰も来ない。
誰も訪れない深海は、最初に感じた時より暗かった。
――不安。
そう、不安。
独りは、本当は嫌だった。?
本当は、独りは嫌だった。?
浮かべない、深海の中。
そろそろ、酸素が無くなる。
わたしはきっと、生まれ変われる。
はやく、その時が来て欲しかった。
――それでも。
手を伸ばした。
今まで尋ねてきた誰かに?
目があった彼に?
光を届けてくれる世界に?
――限界まで。
ただ、本当は。
独りは嫌だった。
一人は嫌だった。
こんなに寂しい世界だなんて、知らなかった。


「ほらね、君も素敵な色を隠してた」

そう、やっぱり。
いつかの再来。
君はいつも、私に光を届けてくれた。


沈む。
沈む沈む――手を、引かれた。
光がいきなり差し込んできた。
違う。
私が、浮かんだんだ。
とたんに息苦しくなって、頭が熱くなってくる。
さようなら、私の深海<現実逃避>。
彼の手と、目と、深海からの泡と、祝福のマリンスノーが、私を海面へ、陸地へ押し出す。
ありがとう、彼と私の深海。

そしてさらに、空へ、天へ、高みに。
彼と共に、飛び立とう。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

深海少女@モノローグ 3

ゆうゆPさんの「深海少女」をノベル版で。終了。
きちんと物語にしたものを、あとで別に書くと思います。

どうしてこうなった!
理由場面がなっしんぐ。

閲覧数:138

投稿日:2010/09/21 18:44:34

文字数:1,004文字

カテゴリ:小説

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