私たちが出会って、もう何年たっただろう・・。
笑いあったり、ケンカしたり・・。
でも、いつのまにか仲直り。
私は、そんな日々が大好きだった。
けれど、別れは突然やってくるんだ。
何も言わずに行ってしまった君、
どこに行くのかさえ、告げぬままに──。
月に二、三度来る手紙。
でも、君の住所は書かれていない。
返事が出せない──。
もどかしさで、
いつもいつも、君からの手紙を読んでは涙。
読み返して涙。
新しい学校のこと、君自信のこと、
友達のこと、家族のこと。
いつも、二枚以上の手紙・・。
書ききれなくて、裏まで書いてあったこともあったね。
隅っこに、必ず描いてあるイラスト。
君と私が笑っている似顔絵。
絵のうまい君だから、
どっちが私なのか、すぐに分かってしまう。
君がいなくなって、五年経ったとき、
君の住所が書かれた手紙が届いた。
返事が出せる・・!
わくわくしながら封を開けると、君の文字じゃなかった。
君のお母さんの、綺麗な字だった。
手紙の内容は、残酷なものだった・・・。
私は急いで、君のもとへ向かった。
久しぶりに見た、君の姿。
病院のベッドで横たわっていた。
顔色も悪い・・。
久しぶりに聞いた、君の声。
「ごめんね。私の住所、書けなかったの。
だって、書いたらすぐに、今みたいにここへ来たでしょ?
こんな姿、見られたくなかったの・・・。
でも、ありがとう。来てくれて・・。
最後に君の顔が見れて、嬉しい・・・。」
それが、最後だった。
それから君は静かに目を閉じて、しゃべらなくなった。
泣き叫ぶ君のお母さん。
うつむく先生。
私は、泣くこともできないまま、
呆然と立ち尽くしていた。
自分の身に起こった現実と思えず、
まるで、ドラマのワンシーンを見ているような気分だった。
君が逝ってすぐ、式が行われた。
みんな黒い服をきて、ハンカチで顔を覆ってる。
君の写真の周りに、色とりどりの花、
かわいらしく笑っている君、
突然すぎるむごい現実を受け止められず、
泣くことができない私だから、せめて、
笑っていさせて。
君が笑っているのなら、私も笑いたい。
君が泣いていないなら、私も泣かないよ。
君がいなくなって、何度目かの春。
新しい制服は、まだ体に馴染んでくれそうにない。
君が書いた手紙を、今も読み返して、涙。
手紙はもう、しわくちゃだよ。
もうこれ以上、届かない手紙を、
箱の中にしまって・・・。
できることなら今すぐにでも、
君に会いにいきたいよ・・・!
でも、それも、叶わぬ願いだから。
今日も私は、泣かないよ。
君と一緒に、笑っていたいから・・・。
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