『キタエリ!(仮)』


 ――テレビの中から絶えず聞こえる笑い声……
みかんをのっけてふんぞりかえるおこたのぬくもり……
そして消臭ポットのかほり……
「よし、寒風摩擦をしよう」
 冬の始まりを告げる寒さが続く中、
わたしは健康的な体づくりをするため
寒風摩擦を始めた。
最初は寒さに震えもしたが、
やってみるとこれがなかなかあったかいのだ。

 タオルを肩にかけてもち、庭に出る。
この寒さにも、もう慣れた。
とはいえ、上着を脱ぐとまだ肌寒い。

 風に吹かれて、紅葉がまたひとつ落ちる。
まだまだ元気なわたしだが、この年になるといろいろ考えてしまう。
あの葉のようにわたしもひっそりと枯れて落ちる日が来るのだろうか。
あーやだやだ。

 そのとき、ドスドスドスとえらい剣幕で廊下を走ってくる音がした。
そして現れたシルエットは小柄で可愛らしい女の子だった。
「おばあちゃん! またそんな格好で外に出て……恥ずかしいからせめて下着くらいつけてよ!」
 全裸で寒風摩擦をするわたしに怒鳴りつけるこの娘はわたしの孫の絵梨奈である。
まだまだ花も恥じらう16歳。
女子高生ってやつだな。略してJK。
もう少し早く孫の姿を見たかったものじゃが、高校生になるまで生きてられただけでも幸せだ。
「まったくあんたはいつも騒々しいねぇ。その元気をわたしにもおくれよ」
「何言ってんの。おばあちゃんは十分元気でしょ! それより早く服着てよ!」
「どうしたんだい? 日曜の朝くらい落ち着けい。ほれ、あんたも一緒にどうじゃ」
「い・や・よ!!」
 凄い覇気で断られた。
「今日はやけにお怒りみたいじゃないか。ほう、もしかしてこれか?」
 わたしが小指を立てると、顔を真っ赤にするところがまた可愛い。
「うん……だからはやく服着て、コタツであったまっててよ」
「へいへい。孫にはかなわんわい」
 

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

キタエリ!(仮)

知り合いに見せたらキタエリ詐欺だと言われましたwww
続きは全く書いてないのですが、気がむいたら書こうかなと思ってます。

閲覧数:44

投稿日:2012/11/02 05:41:19

文字数:788文字

カテゴリ:小説

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