そこは静かな波の奥
ウサギを待ってるお嬢様


ある日ウサギを追いかけた
居眠りしていた弟置いて
誰も知らない鬼ごっこ
ウサギは笑って手招いた
ここまでおいで ここまでおいで


それは海まで続いたの
お気に入りだった靴まで濡れて
いつかウサギは海の上
それでも笑って手招いた
ここまでおいで ここまでおいで


海は冷たく足を濡らす
引く波強く 私は転び
気付けばそこは海の中


そこは静かな波の奥
ウサギを待ってるお嬢様
懐中時計を抱きしめて
分かっているのは時間だけ
早く見つけて 私のウサギ
海は冷たく心を冷やす
両手を上に掲げても
貴方に見えるほど長くはないの


それでウサギは笑ったの
白い毛並みをゆらゆら揺らし
君はアリス 次のアリス
泳いで誘って手招いた
こっちにおいで こっちにおいで


底は暗くて音もない
だけどそこにはお姉様
真っ赤な髪が揺れていた


そこは静かな波の奥
ウサギを待ってるお嬢様
懐中時計を抱きしめて
分かっているのは時間だけ
早く見つけて 私のウサギ
海は暗くて心も沈む
声を限りに叫んでも
貴方に届くほど続かないの


待っていた 貴方をずっと待っていた
微笑む唇 歌うように私を手招く 
冷たい手が私を撫でると
ウサギは見る間に大きく変わった
そこにいたのはお兄様
青い髪が寄り添った


君はここで待っていて 君のウサギが来る日まで
君はここで待っていて 次のアリスが来る日まで
どこにも行けない どうにもならない
君は深海の国につかまった
アリス アリス どうか僕らを恨まないで
二人は消えて私は一人
ポケットの中 懐中時計だけが動いてた


そこは静かな波の奥
ウサギを待ってるお嬢様
懐中時計を抱きしめて
分かっているのは時間だけ
早く見つけて 私のウサギ
ここは辛くて涙も出ない
視界を必死に探しても
貴方はどこにも見えないの

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

深海の国のアリス(絵先)

零花さんのリンのイラスト、「深海のアリス」からイメージして書いてみました。
→ http://piapro.jp/a/content/?id=hmwx66q8s7obr2cn


アリスという響きから、なんとなく救いのない感じのストーリーにしたかったんですが如何でしょうか。


不都合、その他問題あれば削除致します。

閲覧数:260

投稿日:2008/06/05 11:27:41

文字数:794文字

カテゴリ:その他

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