【2107年8月31日】
ガチャ
「ただいまー」
夕方19時30分。僕は仕事を終え、4年前に思い切って購入した新築マンションに帰ってきた。
まぁ、新築と言っても地下第4層のF-72地区の格安物件だが。
「パパー、おかえりー!!」
奥から走ってくる僕の天使。今年で7才になる娘だ。この前、地球ヒト科専門教育学校の初等科普通教育コースの2年生になったところだ。
「ただいま。いい子にしてたか?」
そう言って、娘の頭をくしゃくしゃと撫でる。あぁ反抗期なんて来なければいいのに。
「パパ、それ何―?」
僕がカバンの他に持っている、白い箱を不思議そうに見つめる。
「あぁ、これ?ケーキだよ。ご飯終わったら一緒に食べようね」
「わーい!ケーキ!!あれ?でも今日誰かの誕生日だったっけ?」
不思議そうに首をかしげる。
「箱の中を見てごらん」
箱を手渡すと、中をのぞき込む。
「あれ?4つあるよ?パパ、ママ、私・・・あ、私が2つ食べてもいいの!?」
パッと顔が輝く。
「ブー、残念。それはパパのおじいちゃん、つまり、ひいおじいちゃんへのお供え物だよ」
「お供え物?」
「昔ね、ひいじいちゃんが死んじゃう前に、まだ高校生だったパパを病室に呼んで『もしワシが死んでしまったら、盆彼岸の墓参りはいいから、毎年8月31日に仏壇にケーキを供えてくれ』ってお願いしてきたんだ」
「なんで?」
不思議そうに尋ねてくる。
「ん~・・・何でなんだろうね?パパにもわからないんだ。ひいおばあちゃんも、おじいちゃんも、親戚は誰も8月31日生まれの人は居ないしね。ただ、その時はあまりの迫力にパパは何も聞けなかったんだ」
それを聞くと彼女は、不思議そうにケーキを眺めて言った。
「ふーん・・・きっと誰か大切な人の誕生日だったんだよ!」
「うん、そうだね。」
そう言って僕は、もう一度娘の頭を撫でた。
「あ、パパ!聞いて聞いて!今日学校で新しい友達が出来たんだよ!」
「へー!それはよかったなぁ。人間?」
「ううん、ボーカロボ科の子」
「ほー、何系の子なの?クリプトン系?インターネット系?」
「えーっと、確か、クリプトン系・巡音タイプ・第67式エンジン搭載型三次元ボーカロボだって言ってた」
「同い年なの?」
「うん!おんなじ2年生!とっても歌が上手なんだよ!」
「へー、すごいねぇ!」
「私、将来、あの子のボーカロイダーになるんだ!」
「えー?でもボーカロイダーは大変だよ?ボーカロイドとペアになって、世界中を回って歌で人々の心を癒す仕事だからね。時には辺境の地や戦場にも行かなきゃいけないんだよ?」
「だ、大丈夫!私、頑張る!」
「じゃあ、いっぱい勉強しないとね。ボーカロイドが上手く歌うための調声方法、その伴奏を作るための音楽の知識、遠征先での故障を治す機械の知識とかね」
「うぅ・・・、やっぱりやめておこうかな・・・」
「ハハハッ、大丈夫大丈夫。大変な事も多いけど、それだけ素敵な事がいっぱいあるから。頑張ってみたら?」
「うん!」
「じゃあ、中学校はボーカロイダーコースだな。あそこは試験が難しいからいっぱい勉強するんだよ?」
「はーい!」
「よし、じゃあご飯食べよっか?」
「うん!」
―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――・――
(おまけ)【2011年8月31日】
ガチャ
「ただいまー」
夜23時10分。俺は六帖一間のボロアパートに帰ってきた。
真っ暗な室内にはカップラーメンの食べかすや脱ぎっぱなしの洗濯物が散乱していて、慎重に歩かなければ大惨事になる。
「さーて、伸びてるかなー?」
電気を付け、スーツからスエットに着替え、ビールを片手にパソコンのスイッチを入れる。
動画投稿サイトにアクセスし、午前中に投稿した動画をチェックする。
「うわー、再生数52って(笑)」
ビールを飲みながら、自分自身を嘲笑してみる。もう笑うしかない。
「やっぱ俺、音楽向いてねーのかな・・・ん?」
パソコンのモニターの端、白いクリーム状のモノが付いている。
「これは生クリーム?・・・あ!」
台所まで走っていき、急いで冷蔵庫を開ける。
今日の為に買っておいたショートケーキが、何者かによってキレイに一口分だけ食べられている。
パソコンとケーキを何度も何度も見比べる。
「・・・・・・・・・まさか、なぁ?」
何だか、もう少しだけ頑張ってみようと思った。
【おわり】
―――・―――・―――・―――・―――・―――・―――
ボーカロイド文化の更なる発展を願って・・・・・
【初音ミク】2107年8月31日【オリジナル小説(第4回誕生祭)】
今日は8月31日・・・そう、緑のあの子の誕生祭らしいじゃないですか!(゜∀゜ )
と言うことで、祭りに参加しなければと思い、超特急で作品を作ってみました!
・・・が、会場を少し間違えたのか、ピアプロ様はあんまりお祭りって言う雰囲気じゃないのかな?(^^;)すみません、あんまりルールが分かっていなくて汗
しかし、書いてしまったものは仕方がないので、垂れ流しておこうと思います(笑)←
あ、でも、誕生祭としての作品なら前に投稿した『ボーカロイドと未来とツチノコの歌』の方が相応しいかもしれません(^^;)
少し長い作品ですが、あっちはちゃんとした作品なんで、興味をもたれた方は是非一度読んでみてやってください(´∀`*)
最後に。ミクさん、4周年おめでとう!これからも応援しています!
コメント0
関連動画0
オススメ作品
Small ・R
作詞・作曲:kissy
君といた空 一緒にくつろいだ
冬の草に咲く 桜の花ヒラヒラ
悲しそうに散る ドキュメンタリー
毎日さんぽ
新しい思い出 作れるかな
どうかもわからないまま 今は眠る
どんなことが 起きても 許して上げて
ゆらゆらゆらゆらと舞い散る...Small・R
kissy
意味と夢と命を集めて
作られてしまって身体は
終わった命を蒸し返す機械らしい
【これは彼の昔のお話】
人一人は涙を流して
「また会いたい」と呟いた
ハリボテの街の終末実験は
昨日時点で予想通りグダグダ過ぎて
その時点でもう諦めた方が良いでしょう?
次の二人は 街の隙間で...コノハの世界事情 歌詞
じん
私には時間がない 恐ろしいくらいに
恐怖に震えていようが
私には時間がない いじましいくらいに
情緒など捨て去るがいい
私には時間がない 多少なり楽だろう
礼儀に縛られていても
私には時間がない 追いかけられている
順々に潰される背後
私には時間がない 助けてとも吐けない
週末は寝て過ごすだけ...マーチハレ
出来立てオスカル
ゼロトーキング / はるまきごはんfeat.初音ミク
4/4 BPM133
もう、着いたのね
正面あたりで待ってるわ
ええ、楽しみよ
あなたの声が聞けるなんて
背、伸びてるね
知らないリングがお似合いね
ええ、感情論者の
言葉はすっかり意味ないもんね...ゼロトーキング(Lyrics)
はるまきごはん
ミ「ふわぁぁ(あくび)。グミちゃ〜ん、おはよぉ……。あれ?グミちゃん?おーいグミちゃん?どこ行ったん……ん?置き手紙?と家の鍵?」
ミクちゃんへ
用事があるから先にミクちゃんの家に行ってます。朝ごはんもこっちで用意してるから、起きたらこっちにきてね。
GUMIより
ミ「用事?ってなんだろ。起こしてく...記憶の歌姫のページ(16歳×16th当日)
漆黒の王子
If I realize this one secret feeling for you
I dont think i would be able to hide anymore
Falling in love with, just you
Tripping all around and not ...今好きになる。英語
木のひこ
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想