ライブ当日。
いろはは会場に行くときも仏頂面で、リリィとピコは眠そうなのに加え不機嫌。りおんとラピスと勇真も不満げな顔をしていて、キヨテルとゆかりはなだめるのに苦労した。

「ちょっと、向こうと曲の順番決めてくるね」

おそらく、キヨテル/カイトの曲が最初に入るだろう。このままでは。
イントロ向きのカイトの声だったらなんとかなるか。

「カイトさん。俺とカイトさんの曲最初でいいですか?申し訳ないんですけど」

キヨテルがカイトに頭を下げた。
カイトが首を縦に振る。

「最初に、僕オリジナルのやつで、その次にゆかりさんオリジナルのやつを入れればいいと思うよ?」

ゆかりも頭を下げた。

「本当にすいません……いろは達が恥ずかしいことに、機嫌が……」
「いいよ、気にしなくて。ミクとかも不機嫌だと大変だから」

ルカがにこりと笑い、ゆかりもほっとしたように笑った。
曲順は決まり、最後に8人の曲をそれぞれカバーと本物とが歌うことになった。



「用意できた?」
「できたできた」

ミクが頷く。

「よし、歌詞はこれでOK」
「行こう」

ライブが開始した。



キヨテルは驚愕した。
カイトとキヨテルが最初に入るはずだったのに、なぜかステージにはミクが立っている。

「いろは、いろは、用意だ!ミクがなぜか最初に……」

いろはが出てきた頃、ミクがマイクを持った。

「みんな、来てくれてありがと!行きます一曲目……『打倒猫村いろは』!」

観客がどっと沸いた。
いろはも驚いてキヨテルを見た。
Keep Moving!は、全員呆然である。

「にゃ……んで、こんにゃ……」

ミクは叫んだ。

「にゃーにゃー言ってる猫かぶり!負けないぞ!出てこい猫村いろは!」
「……負けにゃい……」

いろはがステージに出た。Keep Moving!側の一番マイクを取る。

「ネギ振り回す馬鹿姫!受けて立つ!黙ってろ初音ミク!」

そのとき、観客の歓声が聞こえた。

「ミク負けるなー!」
「いろはー!いろはが勝つんだー!」
「ミク可愛いよー!」
「いろは最高ー!」

ミク!ミク!ミク!
いろは!いろは!いろは!
いろはは一瞬呆然とした。

「……そういうことか……」

ようやくいろはは気がついた。ファン層が全く違うことに。
ウリも何もかも違うんだからファンを取り合うのも難しいわけだ。
でも何より、自分をいいと言ってくれるファンがいることが嬉しいということに、いろはは気がついた。
舞台裏で、ゆかりとキヨテル以外のみんなもいろはと似たような顔をしている。

「みんにゃー!遅れて登場したが猫村いろはにゃ!来てくれて嬉しいにゃ!」
「あれー、嬉しいのー?珍しく素直だねぇ?いろはちゃん?」
「う、うるさい!ミク黙れっ!」

歓声が沸き起こる。
See the Worldのみんなは笑った。



その後のライブは絶好調だった。
アドリブでレンのアクロバティックなダンスが入ったり、リリィがいつものごとく暴れたり、男性六人が勢揃いで歌ったり、リリィとピコが大人なリンレンをやってみせたり。

「じゃあ最後はやっぱりこれで!『打倒See the World』『打倒Keep Moving!』行くよ!」

出だしはキヨテルとカイト。
次にメイコとりおん。
勇真とがくぽ。
ラピスとグミ。
ルカとゆかり。
リンレンとリリィピコ。
ラストに、ミクといろは。
そして、合唱。

「「「「「「「「「「「「「「「「ありがとう!」」」」」」」」」」」」」」」」



「あー、楽しかった!」

ミクはもういろはときゃっきゃ話している。
いろはの方も変な対抗心が消えたらしく、すぐにミクと仲良くなった。
同じ曲を歌ったもの同士、解釈とか歌い方とかに違いがあって、話し合うのが面白い。

「また一緒にライブしようにゃ!」

いろはが珍しくにこにこ笑ってそう言ったので、みんなは吹き出した。

「にゃ、、、にゃにがおかしいにゃー!」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

打倒!ボカロ8人!~ライブ後~

後編です。

前の奴、タグ間違えた……

閲覧数:73

投稿日:2012/10/13 12:39:43

文字数:1,659文字

カテゴリ:小説

クリップボードにコピーしました