ーーーーーはじめにーーーーーーーーー
※これはmillstones様の素晴らしい楽曲「カガリビト」を元にした「悪ノ娘」「ココロ」「ハロー、プラネット」の二次創作です。私の妄想です。
ちなみに
「カガリビト」・・・楽曲を聞いただけ。設定読んでない。
「悪ノ娘」・・・小説は一回読んだけど実家に置いてきてしまった。
「ココロ」・・・楽曲は聞いた。小説もミュージカルも見てない。
「ハロー、プラネット。」・・・楽曲は聞いた。ゲームやりたいなぁ。
てな感じで、かなり原作様とは食い違っていると思います。勉強不足ですみません。
・あらすじは、カガリビトの少年アレクが楽曲の世界を回ってカガリ火を灯していくお話です。
・中途半端に原作を汚されたく無い方は観ないことをお薦めします。
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「カガリビト」
静まり返った眠る街を駆けゆく。
「南門の方へ逃げたぞ!」「絶対に逃すな!」
ルシフォニアの衛兵たちの怒号が飛び交う。
そんな中、僕は痛む左腕を抱えながらただひたすらに走る。走る。
【悪ノ娘】
ここはエヴォリオス地方の大国・ルシフェニア王国。傍若無人な若き王女リリアンヌ=ルシフェン=ドートリシュが治める国だ。
僕は今朝、半分焼けた、焦げ臭い森を抜けこの街にやってきた。
「うわぁ、これはヒドイ・・・」
この国は今戦争中らしく、ずいぶんと荒れていた。
僕の名前はアレク。カガリビ族の末裔だ。カガリビ族とは昔から物語の世界を回り、カガリ火を唯一管理してきた一族だ。カガリ火とは人々の心に灯る希望の炎。寒い冬に温かいスープを飲むとホッコリする、あれだ。
つまり、希望や愛情、喜びによって心が暖かくなる時、その人のカガリ火は大きく燃えているということだ。そして、それを見ることが出来、直接干渉できる能力を持っているのが僕たちカガリビ一族だ。人は僕らをカガリビトと呼ぶ。
僕は荒れた街には目も暮れず、街で一番安い宿屋を目指した。
「いててて・・・・」
宿屋にチェックインした僕は、急いでズボンを脱ぎ、左足の義足を外した。
「はぁ、やっぱり慣れないな・・・本当にこれで全部出来るのかな・・・」
ベッドに横たわりながら、一人言をつぶやく。
カガリビトには使命がある。物語で主人公が絶望し、挫けそうになった時、再び歩き出せるように心にカガリ火を灯す事だ。主人公の絶望は世界の崩壊を意味し、物語の破綻は多くの人々に絶望を与える。それを阻止することが僕たちの使命だ。
いつの間にか眠っていた僕は、夢を見た。
街の一番奥にある大きくて立派な城。その美しい外観とは相反する物々しい警備、大きな外門を抜け、黄色いバラの咲き乱れる庭園を奥へ進む。城の入口を入り、広い玄関、武器の沢山飾ってある部屋、王女の椅子のある部屋を抜け、美しい中庭を通り、広い厨房を通り抜けた、馬小屋の前の小さなドアの中。物置のような小さな召使いの寝床。そこに横たわる金髪の少年。その体内に燃える黄色い炎。その炎は今にも消えそうに小さく揺らめいていた。
目を開けると、そこはさっきの安宿の硬いベッドの上だった。
「・・・・・今度は王宮かぁ・・・」
深いため息をつき、時計を見る。深夜12時。そろそろ行かなきゃ。
顔を洗い、鏡を見る。白髪の少年が鏡に映る。さっきの少年は僕と同い年ぐらいだろうか?もしお互いが別の運命に生まれていたら友達になれたのかな・・・
「いてて・・・」
なんて下らない事を考えながら、痛む左足の付け根に義足を装着する。
カガリビトにカガリ火に関する事以外に特殊な能力は無い。体力も人並み、怪我をすれば痛いし、下手をすると死ぬ。それでも、例えターゲットがどんなに危険な場所にいようとも、何とか近づいてカガリ火を灯さなければならないのだ。
僕は事前に宿屋の主人に聞いた情報を元に城へ潜入した。そして今、人生最大のピンチを迎えている。
情報によると現在ルシフォニア王国は戦争中で、傭兵団を雇って戦力を補っているらしい。僕は武装し、傭兵に変装した。そして門番に「報告がありガスト=ヴェノム傭兵団長に会いに来た」と言い潜入しようとした。そこまでは良かったが、最悪な事に丁度そこへ街で酒を飲んでホロ酔いのガスト=ヴェノムが帰ってきた事だ。
「俺の名前が聞こえたが・・・どうした?」
長身の紫髪の男。傭兵団の団長ガスト=ヴェノム。今は酔っ払っているが、とにかく強いらしく、各地に数々の伝説を残している。腰には見たことのない形の刀を差している。
僕は俯きながら、黙っていた。どうする?逃げるか?いや、それでは2度と城へ近づけなくなる・・・・。
俯く僕を尻目に門番が困った様に言う。
「この者、ガスト様に報告があり参ったと申しておりまして・・・」
ガストは、冷や汗で震える僕をチラッと見ると
「そうか、では俺の部屋で聞かせてもらおう」
と言い中へ入ろうとした。
「ガスト様!勝手に傭兵を宮殿内へ入れてもらっては困ります!!」
門番が慌てて止めに入ろうとする。
「な~に、リリアンヌ殿には俺から言っておくから気にするな」
「しかし・・・」
困惑する門番を尻目に、ガストは僕を連れて宮殿内に入った。
「・・・さて、どこの誰かは知らないが目的を聞かせてもらおう」
王宮の客用の寝室。豪華な室内に似合わない汚れた鎧や剣が散乱している。
僕は机を挟んでガストの正面のソファに座らされた。
「・・・返答いかんによっては・・・斬る」
ガストは腰の刀を抜き、僕の喉元に突き立てた。
僕は、震える喉を必死に絞って声を発した。
「ぼ、僕はアレク・・・カガリビトのアレクです!・・・・」
冷や汗が額を伝う。
「こ、この物語を・・・救いに来ましたっ!!・・・・」
緊張からか、やけに大きな声になってしまった。
「っぷっ・・・はーはっはっはっ・・・・」
ガストが大笑いした。
「いや~、すまない。ちょっとからかってみたくなってね」
そう言うと剣を鞘に収めた。
「君に悪意がないのは分かっていた。気配で分かる。暗殺者や泥棒なら即刻切り捨てていたが、君は怖くて恐くて仕方がないのにこの宮殿にやってきた。何か理由があるんだろ?」
僕は気が抜けてしまい、声が出なかった。
2回深呼吸をして答えた。
「僕と同い年ぐらいの金髪の少年を探しています。多分、召使いの」
ガストは少し考えて答えた。
「心当たりはある。しかし、タダで教える程、俺はお人好しじゃないぞ?」
ガストは意地悪そうに微笑む。
「さっき言った『この物語を救いに来た』と言うのはどういう意味だ?」
ガストは僕の目をのぞき込む。その時、僕の目の前に紫色の弱々しいカガリ火が見えた。
僕は少し考えて答えた。
「ガストさん、貴方は今、迷っている。そして、迷いすぎて自暴自棄になっている!」
ガストは少し驚いた顔をして笑った。
「はっはっは・・・こりゃ驚いた。お前もあのエルルカとかいう魔女の仲間か?」
僕はガストを強く見つめた。
「ガストさん、今助けます」
僕は、紫色のカガリ火に向かって深く息を吹きかけた。
「ふぅー・・・・」
すると、紫色のカガリ火は、まるで生まれ変わったかのように、激しく燃え上がった。
「おぉ、何だ?これは・・・熱い・・・心が熱いぞ。長らく忘れていたこの感覚・・・これは・・・初陣の時のようだ・・・!!」
ガストは驚き、まるで目が覚めたようなスッキリとした顔をしていた。
「これが僕の仕事です。痛っ・・・」
僕の左手の小指がメラメラと燃え上がった。そして炎は小指を焼き尽くすと、小指もろとも消えていった。
「おい・・・大丈夫か?」
ガストが心配そうに駆け寄ってくる。
僕は痛む左手を押さえながら答えた。
「体の一部を贄とし、物語を終焉へと導く・・・これがカガリビトの使命です」
「カガリビト」1章【悪ノ娘】②へ続く→
「カガリビト」1章【悪ノ娘】①
※これはmillstones様の素晴らしい楽曲「カガリビト」を元にした「悪ノ娘」「ココロ」「ハロー、プラネット」の二次創作です。私の妄想です。
ちなみに
「カガリビト」・・・楽曲を聞いただけ。設定読んでない。
「悪ノ娘」・・・小説は一回読んだけど実家に置いてきてしまった。
「ココロ」・・・楽曲は聞いた。小説もミュージカルも見てない。
「ハロー、プラネット。」・・・楽曲は聞いた。ゲームやりたいなぁ。
てな感じで、かなり原作様とは食い違っていると思います。勉強不足ですみません。
・あらすじは、カガリビトの少年アレクが楽曲の世界を回ってカガリ火を灯していくお話です。
・中途半端に原作を汚されたく無い方は観ないことをお薦めします。
・全部で約24000文字あります。長いです。ゴメンナサイ。
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