特にこれと言って変わった事はなかった。
ミクはいつもと変わらず不機嫌だし、相変わらずオレの食べる姿を飽きもせずに眺めていた。あの日の出来事はまるで夢だったかのような振る舞いだ。
だが、たまに目が合ったりすると、頬を紅く染めて慌てて視線を外したりする。だからまあ、彼女なりに自然に振る舞おうと必死なのかもしれないな。
でもその方がオレも助かった。
いやなんだ……オレも、その、好きな女の子に対してどんな態度を取って良いのかよくわからないからな。ミクが一生懸命普段通りにしようとしている方が助かる。それに、そんな風に無理をしているミクは、妙に可愛く見える。それはそれで満足なんだよ。
あの後、ミクに歌を聴かせてくれとせがんでも、彼女には断れてしまった。何でも、歌を歌うには色々と準備がいるらしい。何の準備をするのは全然見当も付かないが、オレの知らない面倒な準備があるのかもしれないな。
そんな感じで、あの日から3日ぐらい経っている。
オレはあらかたこの街を探索したが、足に使えそうな車などはなかった。ビルがこんなに埋もれてるんだから、砂の下を掘り返せば車の1台や2台は出てきそうなんだが……いかんせん砂を掘る技術がない。人力でこんなサラサラな砂を掻き上げるなんて事、不可能だよな。
そんなこんなで、この3日間でやることをやり尽くしたため、今は部屋の中でグウタラしているってわけだ。まあ、たまには愛用のライフルの掃除でもするか。今では唯一のオレの装備品で、オレの命を守ってくれる頼れる相棒だからな。
分解しようと壁に掛けてあるライフルを手に取ろうとしたときだった。
「ケイ! 大変なの! ミライが……ミライが!」
喚きながらミクが部屋に乗り込んできた。
「ミライがどうかしたのか?」
「だから大変なのよ!」
「どう大変なんだよ?」
「あー、もう! 話にならないわ! 来てよ、急いで!」
乱暴に手を引っ張られた。ミクのどこにこんな力があったのかと、思うぐらい強い力だった。
「ちょ、ちょっと落ち着けって!」
ミクの手を引っ張り返して動きを止めてやった。
ミクと目が合う。相変わらずの不機嫌な顔だったが、オレの手を引っ張る自分の手が目に入ったのだろう。一瞬固まった。そしてみるみる内に紅くなる頬。
「と、とにかく早く来てよ!」
オレの手を乱暴に振り払うと、ひとりでスタスタと部屋を出て行った。
うーん、どうしたもんかねぇ。
まあ、実はオレもミクに手を掴まれたときは、ちょっとドキドキしたが……いや、何でもない。ミクがあんなに必死なのだから、結構切羽詰まった状態なのかもな。
「おい、待てよ!」
ライフルがしっかり壁に掛かってる事を確認してから、オレはミクのあとを追った。
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ESHIKARA
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I dont think i would be able to hide anymore
Falling in love with, just you
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