初音ミクが好き。 ボーカロイド大好き。 でも音楽的素養が全くないし、絵も描けないので、代わりに文章でも書こうかと。
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1.香る潮風 空を行く鳥
私もあの鳥のように 空を飛べたら良いのに
広がる空と海 見える街並み 港への通り
私はこの景色が好き
いつもいつも 人がいて 笑顔が見える
だけど 今は誰もいない
みんなみんな どこかへ行ったの
今はもう 私だけ
...少女は廃墟の中で夢を見る
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オレは手首に巻かれたリボンから目を離して、前方を見直す。
相変わらず行く手どころか、360度見回しても砂漠しかない。
ミクは、オレの事をどう思っていたのだろうか?
ミクはオレを“セカンド”だと見抜いている節があった。最初に出会ったとき、オレの瞳を覗いていたから、その時にバレていたのかもしれな...この世界の果てで 第10章 その4(完結)
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オレはミクに嘘をついていた。
オレが“探索者”である事や、“施設”からやって来た事や、本部に“ロスト”扱いにされたら大規模な調査隊がやってくる事は、全部本当の事だ。
ただひとつ、オレは大きな嘘をついていた。
──オレは、人間ではなく“セカンド”なのだ。
オレたち“探索者”には、旧時代の文明...この世界の果てで 第10章 その3
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それからミクは、ガウルに頼んでオレの車を街まで運んできてくれた。
元はと言えば、奴がオレの車を横転させたんだから、持ってくるのが筋ってもんだが……まあ、ここはミクの顔に免じて不問にしておこう。いや、決して力じゃかなわないからそういう風に言ってるわけじゃない。ホントだぞ。
幸いにしてエンジン部分...この世界の果てで 第10章 その2
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かれこれ半日ほど走っているが、相変わらず見える景色は砂漠しかない。
四隅が曇っているフロントガラスには風に乗った砂がぶつかっている。この車はもう10年以上も前から使われているが、換えのパーツがないためにフロントガラスも傷ついたら傷つきっぱなしだ。とはいえ、ほとんどが砂漠を走破するだけだから、それ...この世界の果てで 第10章 その1
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さっきまでのミクの澄んだ声と規則的に流れてくる音が、ドラマチックに空気を振るわせていたのが嘘だったかのようの静けさだった。全てが終わった静けさが、そこにあった。
ミクは目を閉じていた。再び、月明かりの中に佇む彼女は、とても神秘的で悲しかった。
あれ……? どうしたんだ? 胸が苦しくて、鼻がツン...この世界の果てで 第9章 その4
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「2曲目、行くわよ!」
その声を合図に、ミクを照らしていたライトが消える。一瞬ミクを見失ったが、徐々に暗闇に慣れてきた目が、難なくミクを発見した。
それは、月明かりだった。
彼女を照らすのは、月明かり。夜空に瞬く星々。そして水面に反射した月光。
決して明るくはない。だが、暗くもない。先ほどの...この世界の果てで 第9章 その3
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「ケイ、ミライ、お待たせー!」
明るいミクの声が、広場中に響く。それと同時に、オレたちの目の前にあった、一段高い台座のような場所がライトで照らされた。ライトは……オレ達の後ろにそびえ立つビルから照らしているようだった。
「ラー……ラララー♪」
透き通るような綺麗な声が響いた。何という声だろう……...この世界の果てで 第9章 その2
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満月だった。
砂漠の夜空に、無数に瞬く星々。
暗い。だが、柔らかに降り注ぐ月明かりが辺りを照らしていた。その光は泉の水面にも届いていた。わずかに水面が揺れるたびに、無数の瞬きを生み出している。
まるで、地面にも夜空が現れたようだった。
綺麗だな……。オレの、このわけのわからん感情を抱えてく...この世界の果てで 第9章 その1
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自分でも不思議なくらい冷静だった。全てがスローモーションに見えた。地面が、ゆっくりと近づいて来る。
「いやあああああああっっっっっ!」
ミクの悲鳴が聞こえてきた。でも、なぜかそれは聞こえているのに、どこか遠くで聞こえるような感じだ。オレを見て上げた悲鳴なのだろう。妙に醒めた頭で、そんな事を思った...この世界の果てで 第8章 その4
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通路にはコンクリートの残骸が散乱していた。ヒビが入り、床も崩れ落ちている。そうか、下層は砂に埋まっているから、ここは別に1階ってわけでもないんだよな。これは慎重に歩く必要があるな。こんなところにハマり込んで二次遭難なんて洒落にならねぇ。
階段を見つけた。コンクリートが欠けている。どういう構造にな...この世界の果てで 第8章 その3
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砂嵐以降、天気はずっと快晴だ。
まあ、砂漠の天気が荒れることはそうそうないんだがな。
空は相変わらず青く、突き刺さる日射しは肌を刺す。その日射しは、廃墟と化したこのビル群を鮮明に映しだしてゆく。所々欠けている白い壁、コンクリートからはみ出した灰色の鉄筋。それらの生々しいまでの傷口を、容赦ないま...この世界の果てで 第8章 その2
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特にこれと言って変わった事はなかった。
ミクはいつもと変わらず不機嫌だし、相変わらずオレの食べる姿を飽きもせずに眺めていた。あの日の出来事はまるで夢だったかのような振る舞いだ。
だが、たまに目が合ったりすると、頬を紅く染めて慌てて視線を外したりする。だからまあ、彼女なりに自然に振る舞おうと必死...この世界の果てで 第8章 その1
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「……なあ、ミク」
ミクの嗚咽が完全に聞こえなくなって、落ち着いたところを見計らってオレは声をかけた。ミクは、オレの胸に埋めている顔をわずかに左右に動かした。
それを返事だと解釈して、オレは続けた。
「お前はボーカロイドなんだろ? 歌を、聴かせてくれないか。オレは歌ってのを聴いたことがないんだ。...この世界の果てで 第7章 その3
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オレは……オレには……そんな事、できるはずがない。
ミクはいつも不機嫌な顔で、オレを見下した態度で話しかけたり、その上我が儘で、ムカつく事もいっぱいあるが……でも、たまに見せる笑顔は可愛くて、ドキッとしてしまうほど可愛くて……そう思ってしまう自分が悔しくて……でも、時折見せる寂しい顔を見せられる...この世界の果てで 第7章 その2
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「私の事を殺してって言ったら、あなたは私を殺してくれる?」
何を言っているんだ、コイツは……。
目の前にいるのはいつものミクで、いつもより機嫌が良くて、笑顔がちょっと可愛かった。
なのに……そんな笑顔で、何でそんな物騒な事を言ってるんだよ。
「お前……何言ってるんだよ」
やっとの事で声を絞り...この世界の果てで 第7章 その1