凍てつく寒い冬の夜、教会の墓地に一人の娘が訪れていた。
娘は一つの墓の前で膝を付き、祈るように手を組んでいた。
月の光に照らされた娘の横顔は静かに濡れている。
冬の冷気は娘の身体を容赦なく蝕み、絶望が娘の心を蝕んでいた。
娘は滲む視界で目の前の墓を見る。
そこに刻まれているのは愛しい彼の名前だ。
娘の心に優しい彼の姿が浮かぶ。
まぼろしでも良い。もう一度彼に会いたい。
身体が冷たくなっていっても娘は気にならなかった。
彼との思い出が止め処も無く溢れてくる
「あなたを愛している。それは今も変わらない」
その言葉が娘の口から零れる事は無かった。
しかしその言葉は彼に届いていた。
薄れゆく意識の中で娘は彼に出会っていた。
彼は優しい微笑みを浮かべ、娘を包み込む。
娘もまた、彼に包まれて笑みを零す。
遥か彼方で流れる星が瞬き、娘は祈る。
「このまま時が止まれば良いのに」
孤独の聖夜が過ぎてゆく
凍てつく夜が終わり、朝日が射しこむ教会の墓地で一人の娘が眠っていた。
氷のように冷たくなった娘はもう涙を流す事はない。
『小説』孤独聖夜の娘【ウインターシンドローム】
初めまして。気まぐれな暮巻詩草です。
始末書P様の新曲【ウインターシンドローム】を聞いて浮かんだ情景を物語にしました。
初投稿なので色々不備があるかもしれませんのでその際はご指導願います。
原曲:<a href="http://piapro.jp/t/wbeB">ウインターシンドローム</a>
少しでも始末書P様の励みとなればと思います。
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