ミク「ううっ・・・
・・・・んん・・・・」
白衣「大丈夫か、ミク。」
ミク「ええ・・・。」
白衣「君に辛い思いをさせてすまない・・・。
きっと、精神が驚いて、疲れがたまっているのだろう・・・。
君は夢かと思うかもしれないが、
しかし、これは本当のことなのだ。
ミク「暗闇に、目が慣れてもあなたの姿は見えないし、
先輩には会えないし」
ミク「それに頭も働いていないし、
地球の未来なんて背負えない。」
白衣「ああ、そうだろうね。
だがね、ミク、そんなに気にしてはだめだ。
気にしてはだめだといっても、
きっと優しい君は気にしてしまうのだろうが。
少なくとも、私は、君に素直に選択してほしいと願っている。
ミク「そんなこと急にいわれても、ホントに私、わかんないよ。。
白衣「いいんだ、世界は本来、壁を隔てればわからないことだらけなんだ。
今回のことだって、世界の大半は本来気付かない事、
ヒトはそれに気付けたんだ。
そこに気付けた事で、選択できる余地が生まれた。
奇跡は起きたんだ。今が既に、奇跡なんだよ。ミク。
だから、君は、自分の意思で、
自分が歩きたい道を選ぶんだ。
ミク「・・・・・・。
白衣「君には、まだわからないかもしれないが、
それが、大人になる、ってことだからね・・・。
ミク「・・・・・・。
夢を・・・見たの・・・。
先輩と、草原で、一緒に演奏会をする夢・・・。
どんな音色かは、思い出せないけど、
きっと素敵な音色だったの。
なくしたくないの!! 先輩を! 草原を!!
ママも、パパも、妹たちだって!
いつも忍び込んでくるネコだって、今思うと、
なんでおいかけまわしてたんだろ、
かわいいなって・・・・
怒られて嫌なひとだな、って思ったヒトだって、
思えば、本当に私の事を心配してくれてた!
大切じゃないものなんてないのっ!!
私に関係してないものもないの!消えてなくなるのはいやなの!
自分が、
死ぬのも・・・
イヤだよう・・・・・・・・・!!!
ヒック・・・ヒック・・・。グスッ・・・。
白服「博士・・・これ以上は・・・。
白衣「だめだ。こればかりは。
もうあまり時間もない。時間切れは、
彼女の意思を無視して、強制的に脱出させる事と同義だ。
それはミクを、希望のない宇宙空間に放り出すのと等しい。
白衣「ミク・・・。一度・・・
もう一度・・・自分で立ち上がるんだ・・・。
あの時、Vocaloid2初音ミクを最初に作って、
でもどうしても巧くいかなくて
開発をもう諦めかけていたとき、君は、自分で歌いだしたんだよ。
「ワタシウタイタイ」と。
君の、意思を・・・、聞かせてくれ・・・。
ミク「・・・、そんなミク、Vocaloidだからだよっ!
私には、私の心がある・・・。
無理・・・。私、もう何も考えられない・・・。
起き上がれない、起き上がれないよ・・・・・。
(その時、ヴァイオリンの音色が流れた気がした・・・)
ミク「・・・先輩・・・?
~シーン変化:部屋~
マスター「(・・・どうしてこんなに心がざわざわするのか)
マスター「(・・・たった二言で交わした約束。)
マスター「でも、俺にとっては、
初めての・・・約束・・・デュエットなんだ。」
マスター「(今、風邪をひいて寝込んでいるのかもしれない。
でも、早くよくなって欲しい。
マスター「(そして、元気になってほしい。一緒に弾いてほしい。
大丈夫・・・?元気か・・・?
マスター「(・・・!)
マスター「今の音色・・・。少し・・・。
マスター「(そう、ミクに近づいた気がした・・・。
・・・・・・・。
マスター「(そうか・・・・・・。
俺は両親がいなくなってから、伝えたくてと思って
弾いていたけど。
マスター「(ちがう、伝えたかったんじゃない。
寂しい・・・だけだったんだ・・・。)
マスター「(ヴァイオリンを好きだって気持ちは変わらない。
だけど、自分の気持ちだけで弾いていた・・・。
悲鳴のような心の内を 弾くように・・・。
マスター「そうか・・・楽器って・・・
他人を思って弾くと、こんな音色がでるのか・・・。
~シーン変化:暗闇の中~
ミク「・・・先輩・・・?
いま、ヴァイオリンの音色がしたよね!?
白衣「・・・・・・?(否定するべきか?どうする・・・。)
ミク「先輩も・・・弾いてる・・・。
あの音色・・・もっと聞いていたい・・・。
・・・・・・。
質問があるの。
白衣「・・・。
答えられる範囲なら。答えよう。
ミク「私が、そのチカラ、使ったとして・・・それでもダメな可能性は
どれくらい、
いったい、どれくらいあるの?
白衣「・・・・・・。
答える事は絶望することになるが・・・。
ミク「いいの・・・。聞きたい。ちゃんといってほしい。
白衣「・・・。わかった。
君が犠牲になる出力を出せたとしても、その軌道変更の角度は
ほんのわずかだ。
阻止限界点に近ければ近いほど、
角度を大きく取らなければならなくなる。
だから、一概にはいいにくいのだが・・・。
限界点でチカラを使えて、角度を変えられたとして、
確率は10%だ。もちろん成功の確率がな。
ミク「10%か・・・10回に9回は失敗なのね。
白衣「・・・確率だから、まあ、正確にそうなるとはいえないが、
一般的にいうとそうだろうな。
ミク「実は、もう1つの選択肢、
あまり聞き取れなかったのだけれど・・・
白衣「ならもういっかい・・・
ミク「でもいい。もう決めた。
私はチカラを使う。その隕石、私、止めてみせる・・・。
白黒「!!」
白衣「・・・。君が選択したのならば・・・。
私は何もいうまい。
ミク「ありがとう・・・。教えてくれて・・・。
私・・・、最後にヴァイオリンの音色が聞こえて・・・
後悔は、せずにすみそう。
白衣「そうか・・・。それはよかった・・・。
では、決まったのなら、急ごう。
行動は早ければ、早いほどいい。阻止限界点から遠い場所で
チカラが使えるから成功の確率が高まる。
ミク「じゃあ、さっさとその石ころ、・・・けっとばしにいくわよっ!」
(ここでパッと部屋が明るくなる)
ミク「きゃっ。きゅ、きゅうに・・なにを・・・!
白衣「準備はもうできている、乗り込むんだそれに。
ミク「これって・・・。
白衣「我々はJAXZAとも関わりがある、ということだね。
船の名前は2通り考えておいた。この選択の場合は
「ライカ=クドリャフカ」だ。名目上は、
金星に調査にいくことになってはいる。
ミク「意味は?
白衣「この星の・・・初の、宇宙飛行士の名前だ。
彼女は・・・帰ってくることはできなかった・・・。
縁起でもない、と思うだろうが、
彼女は今もこの星を見守り続けている。
きっと、君も、守ってくれるだろう・・・。
ミク「そう・・・。わかった。
白衣「ああ、そうだ、乗り込む前に。
何か持っていきたいものはないかね。
あまり重いものは無理だが、軽めのものなら許可できる。
君の私物もある程度はここに持ってきている。
ミク「私から、頼むとこだったの。
持っていくものは、決まってる。ヴィオラを・・・。
白衣「ああ、そういうと思って、
ケースごと持ってきているよ。
ミク「変なところだけ、気がきくのね・・・。相変わらずね。
じゃいってくる!
白衣「え?あ、ああ・・・。いってらっしゃい。
船には自動で帰ってくる機能がついている。
事がおわったら、ちゃんと戻ってはこれるよ。
君を宇宙に放り出して投げ出したりはしない・・・。
(搭乗用のゲートが閉まる)
白服「いま、きになったんですが・・・」
白衣「ああ・・・、記憶など・・・ないはずなのに・・・。
~シーン変化:船内~
ミク「意外にかわいい作りなのね・・・。
なにこのヘンテコスイッチ。
スピーカー「ああ、それはテイクオフ用のスイッチだから
さわらないように。
ミク「ちょっtt
いきなり話しかけるとビックリするでしょ!
スピーカー「さて、君の「チカラ」についてだが。
声を出せばいいといったが、実は正確ではない。
ただの声ではだめなのだ。
君の「歌声」でなければ。
つまり「相反する世界」の力を出すには、歌が必要なんだ。
ミク「もう・・・私歌姫のミクじゃない、って
何度も言ってるのに!
カラオケ位しかできないよ?
スピーカー「ああ、それで問題ない。
別に特殊な事は必要ない。
君の大事なもの、大事なひと、大事なことを思い出しながら
歌ってくれさえすればいい。それがチカラになるだろう。
ミク「そうなの・・・。
わかりました。伴奏とか、オーケストラとかは鳴るの?
スピーカー「ああ、序盤は鳴らす事ができる。
最初のサビくらいまでかな。
その後は、悪いが消えることになる。
隕石の干渉でおそらく鳴らなくなるだろう・・・。
ミク「そうなのね・・・
アカペラなんて初めてで・・・うまくできるかどうか。。
スピーカー「不安を呼び込まないほうがいい。
できる、と信じて選択したのだろう?
ミク「うん。できると・・・信じてる。
スピーカー「・・・それでいい。
ではもう準備はできている。
打ちあがったらもうこのスピーカーからは
私の声はきこえなくなる。
軌道計算から、隕石との接触地点を既に割り出しているので、
その地点が近くなったら、警告ブザーが鳴り、
曲が始まるだろう。どの曲かは、ブザーが鳴る前に。
好きなのをモニターで選択しておいてくれ。
曲が始まったら、君の歌を・・・。
世界を救う為の歌を、歌うんだ。
ミク「うん・・・。
私、みんなの為に、歌いたい。
白衣「伝えるよ。その言葉を。では離陸準備に入る。
カウントが0になったら、そのネコミミスイッチを押すんだ!
白衣「では、カウントダウン開始。
3・・・・
2・・・・
1・・・・
0・・・・!
ミク「えい!
ゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・・・・
(そして少しずつ、ゆっくりと高度をあげていくクドリャフカ)
白服「行ってしまいましたね・・・。
(涙を隠して)
白衣「ああ・・・だが、親として
娘の成長を嬉しく思うよ・・・。
黒服「ニコ・動生放送での最後のミクの音楽発信準備できました。
白衣「ああ・・・娘には内緒だが・・・
一番製作に苦労した妨害されない転送装置・・・
あの子の最後のステージを・・・届けてやってくれ・・・。皆に。
白衣「あの子はオリジナルがベースになってできている。
彼女が消えれば、世界に散らばる「電子の歌姫」も
消えてしまうだろう・・・。
黒服「まぁこれが失敗すれば、
人類史上最悪の生放送ニュースになりますが・・・
でも、彼女は失敗したとしても、
ヒトに、覚悟する時間をくれるということなんですよね・・・。
白服「ああ・・・どっちにしても俺たちは
奇跡を目の当たりにするってことだな・・・。
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