「やっていけるのかな、お姉ちゃん」
私―、S-RRは、学校の前に居た。
「大丈夫、きっと、そう、リル博士が仰ってたじゃないですか」
「でも」
そういいかけたとき、一人の女性に声を掛けられた。
「貴方が、S-RRとA-MRAですね。話はリルから聞いてます」
その女性は、リル博士の姉で、今日から私達が行く学校の校長である。
「はい」
「でも、S-RRと、A-MRAって、普通の人間の名前じゃないから、少しでも人の名前になるように改めて、リルが、貴方達に名前を与えるって」
「新しい、名前、ですか」
お姉ちゃんがそう聞いた。
「はい、今日はリルは仕事が忙しくて来れないので、私が言いますね」
「お願いします」
「はい、A-MRAは安理音ミリア、S-RRは真音ラル」
彼女がそう言った時、キーンコーン
「あら、チャイムが鳴ってしまいました、それぞれの教室に行って下さいね」
ここからは、お姉ちゃんとは、違う教室に行く事になる。
大丈夫かな、人間の学校では、いじめというのがあると、テレビを見ていたらあった。
それは、みんなと違ったりしたら、起こる事だと、知っているから、不安になってしまう。
「では、今日から皆さんの仲間になる真音ラルさんです。はい、入って」
「は、はい」
「ラルさんは、今日初めて学校に来たので、皆やさしく接してくださいね」
『はーい』
大丈夫かな。

隣の席の子に話しかけてみた。
「あ、あのえっと、えと」
「なに?えっと」
「ラルで、いいです。えっと、名前は何でしょうか」
「そんなにかしこまらなくていいよ。私は菜香」
「菜香さんですか」
「菜香でいいよ。ラルは、いっぱいの人と触れ合ったのって、初めて?」
「は、う、うん」
人との、触れ合い方すら分かんないよ。
「分かった、私が今日からラルに人との触れ合い方を教えてあげる!」
「う、うん、分かりました」
「だから、私に対してはためぐちでいいって」
「ためぐち?」
何その言葉・・・・
「ああ、ごめん、私に対しては、敬語は無しでいいよ」
「え、えと、うん、分かった」
「それにしても、世間知らずな子だね、もしかして、今まで家から出た事無いの?」
家、てことは、私にとっての研究所のことかな。
「まあ、そんなところかも」
「ふ~ん、そうなの」
「学校来るの、ちょっと不安だったけど、菜香のおかげで、ちょっと、大丈夫になった」
「ラルも、気をつけたほうがいいよ。この学校、転校生へのいじめが絶えないの」
いじめ、か。やはり、そうなんだ。
初日は、いじめのターゲットにはならなかった。
少し安心して、校門前でお姉ちゃんを待つ。
「あ、お姉ちゃん」
「あ、ラル。大丈夫?」
お姉ちゃんは、少しやつれた感じだった。
「・・・・・」
お姉ちゃんは、病弱だ。そのために、MV計画から外れてしまい、MVCの欠陥品となった。
でも、リル博士やロンド博士はそんなお姉ちゃんを一緒に入れてくれてる。
リル博士やロンド博士は、私とお姉ちゃんを作った人だから、これを厳密的に親というらしい。
お姉ちゃんがいじめなんて受けたら、お姉ちゃんの寿命が本当に縮んでしまう。
「ラル、私は大丈夫だよ」
「うん」
そうして、私の初めての学校は、楽しさと、少しの寂しさで、終わったのでありました。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

MVシリーズの意味3

菜香出さないとか言ってたくせに出してんじゃん。
菜香登場。菜香が亜種マスターになるまでは此処では話さないけどね。

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投稿日:2011/06/16 17:02:26

文字数:1,362文字

カテゴリ:小説

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