俺達は暗号が解けないまま歩いていた。『もしかしたら偶然宝物を見つけられるかも知れない』と言う鳳仙花の言葉に同意した結果なんだけど…。
「う~~ん…やっぱり無いね。」
「闇雲に探しても疲れるだけっぽいね。暗号解くしか無いよ。」
植え込みにへたる様に座り込んだ。
「何か飲み物買って来るわね。」
「あ、良いよ、俺が行く。」
「じゃあ、お願い。」
何か悔しい…。初日に配られたカードでジュースを二つ買って戻ると、鳳仙花はまたクッキーを食べていた。
「太るよ?」
「その分運動するから良いんです。」
――チュン…チュンチュン。
零れたクッキーを雀が啄ばんでいる。『二度目は小鳥に迷わされ』ってあったな…。
「小鳥がどうやって迷わせたんだろう?」
「え?」
「暗号の話だよ、ほら『二度目は小鳥に迷わされ』って。」
「う~~ん…そもそもこれ何に迷ったのかしら?迷う物って結構あるじゃない。
今日着る服とか、ご飯のおかずとか、チョコにするかバニラにするか、とかね。」
「アイスは暗号に関係無いって。」
「ん~後は…道とか?私の友達が凄い方向音痴でよく迷子になるのよ。」
「…迷子…?」
その言葉にもう一度暗号を読み返した。
『白い小石で救われた 二度目は小鳥に迷わされ 甘い香りに一時眠れ 最後は焼いて宝物』
「『白い小石で救われた』ってあるのは、1回目は助かったって事だよね?」
「小石で助かって…2回目は小鳥に…。」
「それでこの後の『甘い香りに一時眠れ』ってのは、家だよね?」
「小石で助かって、迷子になって、甘い家…ああああああああああ!!!」
「「ヘンゼルとグレーテル!」」
頭の中でパズルのピースがようやくはまった。やけにスッキリ。これが世に言う『アハ効果』だろうか。
「…宝物って言うのがよく判らないんだけどね。」
「ん~と、ヘンゼルとグレーテルって、確か魔女をかまどで焼いて、それからお菓子の
家にあった宝物を持って家に帰る~って話だったと思うけど…。」
「行けば判るかもね。」
2人で案内板を見ると此処から遠く無い場所に『お菓子の家』と書かれたカフェがあった。
「じゃあこっからは先に見付けた方が勝ちって事で。」
「負けないわよ?」
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