ミクの背中を見送った猫は、後ろから近づいてくる人影に振り向いた。
そこにいたのは、先ほどミクが会った、3人だった。
『幸か不幸か、彼女が選んだ道は、女王様へ続く、遠回りの道だったようね』
と、猫が言うと、次にうさぎが言った。
『とりあえず、俺たちも急ごう。…もう1本の、近道を通って…!』
そう、ミクが悩んでいた分かれ道は、どちらも辿り着く先は同じ。
ただ、着くのが早いか遅いかの違いだけだったのだ。
そんなことは知らないミクは、ただただ歩き続けていた。
*****
私は、自分が決めた道を信じて歩き続けた。
分かれ道の前までのように、人がいるのかと思っていたが、あれから誰とも会うことはなかった。
結構な距離を歩いたら、何かが見えてきた。
それは、大きな塀の向こうの、大きなお城だった。
門が開いていたので、塀の中に入った私の目に飛び込んできたのは、大きな広場の先の、お城とつながっていると思われる、ステージであった。
そのステージの上には、さっき会ったうさぎが立っていて、マイクを手にして叫んだ。
『女王陛下のおなーりー!』
そうして出てきたのは、綺麗な真紅のドレスを纏った、茶髪でショートカットの美しい人だった。
でもそのオーラは気持ちの良いものではなく、その場を緊張で包ませた。
そして、私達が沈黙していると、彼女は少し怒り気味に言った。
『私が女王様よ、何か文句あるの?』
その女王の言葉に、その場にいた兵士やその他の人たちは皆、無言で首を振った。
私はそれを、茫然と見ているしかなかったのだが…。
そんな人たちを見て、彼女はクスッと笑い、話を続けた。
『私が唄えば誰もが釘付け。全てを服従させるオーラ!』
そう言って、彼女は立っているステージの上で唄い始めた。
言っていた通り、とても綺麗な歌声で、固かった空気が、和らいでいった。
私もその場にいた人も全員、彼女の歌声に惹かれていた。
そして、私はそんな彼女に思い切って話しかけてみた。
『あなたが女王様?』
私が話しかけると、彼女はすぐにこちらを向いて、自慢げに答えを返してくれた。
『あら、見ない顔ね。そう、私が女王様よ。覚えておおき』
『美しい歌声なのね』
『当たり前じゃない?』
それだけ言うと彼女は、すぐに広場の方に向き直って、大きな声で言った。
『さぁ、オーケストラを始めましょう!私のミュージック!』
――オーケストラ?…私もやってみたいなぁ。
『ピアノ、ウッドベース、ドラムス、ブラスセクション』
すると、今日ココに来るまでに出会った4人がステージの上に立ち、それぞれの楽器を手にとって演奏し始めた。
でも、ピアノだけが空いている。
私が不思議に思っていると、女王様がまた私の方を向き、空いているピアノを指差して言った。
『なにしてるの?あなたもやるのよ』
『え…』
私は突然のことに驚きながらも、ピアノを弾くことやミュージックが大好きだから、ピアノに向かって歩く。
他の4人も、私が入ることには驚いたようで、茫然としている。
そんな様子を見て、女王様は怒り気味に言った。
『みんな言う事をおきき!』
私を含めた5人がその大きな声をきいて、ビクッとした。
女王様はそんなことは気にも止めず、今度は言い聞かせるように言った。
『私のために奏でなさい!すべて私のものよ、私は女王様だからさ!』
――え、なんで…?
その言葉をきいた4人は、納得をしていないような顔をしながらもすぐさま演奏をしようとした。
しかし私は、思ったことを言おうとし、演奏を遮るように言葉を出す。
『ちょっと待って!』
私の声は皆に届いたようで、4人と女王様は私の方を見る。
それを確認して私は、言葉を続けた。
『これは皆で奏でるミュージックでしょ?女王様はやらないの?』
『え…?』
私のこの発言を、女王様は予想していなかったようで、言葉を失っている。
それに対して私は、他の4人に眼で気持ちを伝えようと、心の中で言った。
――女王様だって、私達と一緒に唄いたいはず…!
――あなた達も、唄っている時は楽しいでしょ?
4人は、この私の思いを読みとってくれたようで、一斉に顔が明るくなった。
それを見て、私も嬉しくなり、今度は女王様に皆の気持ちを伝えようと、次々と言っていった。
始めに私が、 『へんてこでも、』
次に不思議な猫が、 『まとまらなくても、』
3番目にちょっと口の悪いうさぎが、 『大慌てな時でも、』
4番目に面白いシンガーさんが、 『ハッピーを感じてるのさ♪』
皆がタイミングよく言ってくれて、楽しくなってきた。
そんな私がまた言った。 『十人十色だけどね、』
それに続けてまたうさぎが、 『重なればハーモニーになるんだよ』
そして大きな帽子をかぶった少女が、 『理由は単純さ!』
この少女の言葉を合図にして、最後に5人全員で笑顔で言った。
『『だってWE LOVE MUSIC!!』』
いい終わってら改めて女王様の方を見ると、彼女は今にも泣きそうな顔をして、言ってきた。
『皆…ありがとう。私も一緒に唄っていいかしら…?』
その言葉を聞き、私達は顔を見合わせ、もっと笑顔になって、息を合わせて言った。
『もちろんっ!!』
そして始まったのは、全員で奏でた、楽しい楽しいオーケストラー…。
Alice in Musicland -Empress-【自己解釈】
これまたお久しぶりです^^;
なぜかいつも、Arice in Musiclandの自己解釈は1ヶ月ごとの投稿になるんでしょうか…?w
まぁ、そんなことは気にせずに…。。
それにしても、今回は長くなりましたねぇww
しかも、話しが曲知らない人にとっては意味不明なことになってしまっていますorz
申し訳ありません;;
まぁ、そんな感じですが、これもあと1話で完結です><
ちなみに、これが完結するということは、私が投稿しているテキストで初の連載終了ということなんです!
すぐ終わるものを長々とやっているだけなんですが、私としてはとっても嬉しいことでして!
どうかあと1話だけでも、お付き合いしてくれたら嬉しいです^^
偉大なるAlice in Musicland本家様↓
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15108950
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