『拝啓シンデレラ』(恋愛・一途)
シンデレラ、いってらっしゃい。
幸せに、誰よりも幸せになってくるんだよ。
僕はね、始めからこのお話の一部でしかないんだ。
君が苛められて、涙をこらえて、王子様に見初められて、これ以上ない極上の微笑を浮かべて手を振る。これがシナリオなんだ。
僕は何も壊してはいけない。君の気持ちも、美しさも、花が舞う終焉も。全ては決められた運命なのだから。
先の見える人生なんてつまらない、と君は零すかもしれない。でもそれを全力で僕は否定しよう。
楽しかった。初めて泣いている君に出会って、この心が揺れて、たとえそれが破れることを知っていても。
このお話は君が主人公だから。僕みたいな小さな男のことは多く描かれてはいけない。絶対に謝らないで。僕は甘んじて君の飾り役になったんだから。
力に感謝している。君を、皆から愛されるように動かす役目を担ったことは、僕の生きがい。純白のドレスを誰よりも早く目にした。息を呑むほど美しく変身した君に、誰よりも早く出会えた。これほど胸が詰まることなんて、きっとこの世にない。
だけど、おかしいんだ。僕はあの時、君に魔法を掛けたあの瞬間、全身が震えてしまった。魔法なんて使えない、只の人間として出会いたかったなんて、そんな望んではいけないことが、少しだけ頭をよぎってしまった。
ああ、これが切なさなんだね。切なくて、胸が張り裂けそうで、涙をこらえてなんとか発した「ビビディバディディブー」。
一つだけ間違ってしまったらしい。本来なら僕は君に同情して、激励のつもりでさり気なく魔法をかけるキャストだった。
そこは狂ってしまったけど、物語は止まれなかったし、止まる必要もなかったと判断された。
僕はただの魔法使い。君を舞踏会へと誘う、架け橋の一つ。そんな僕にどんな感情が芽生えようとも構わない。だって事実、君は行ってしまったのだから。『シンデレラ』という物語の形は、崩れずに済んだのだから。
シンデレラ。いってらっしゃい。
僕はこの話のほんの一部だ。
一つだけ許されるなら、君がいま笑えるのは僕の力があったからだと、そのことだけは忘れないでくれるといいな。
さあ、本が閉ざされる。僕も心躍る激痛に身を委ねて、君の物語を終わらせよう。
敷かれたレールに沿う。もし君が今まで経験したこともない苦難に今後出会うことになったら、その時は、僕が、この物語に逆らって一心に戦ってやると、そう約束しよう。
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HaL
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